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Classic Music Diary

The 13th Century French Love Songs

2022.05.11 07:56

Alla Francesca , Brigitte Lesnd  (paraty)

今からちょうど1000年前フランスの王権が強化され今のフランスという国の原型が固まった頃の音楽。音楽的にはバロック・ルネサンス以前の“早期音楽”と言われる。歴史的にはまさに中世であり、その中世の音楽の代表がグレゴリア聖歌だったり、もっと後のポリフォニーの音楽だったりとキリスト教関連なのでこの頃は宗教音楽しか存在しなかったかのような印象が普通にあるのだが、そんなことはなく、13世紀といえば世俗音楽も宮廷及び市井では広く演奏されていた。フランス・ガリア地方ではトルバドール、ドイツではミンネゼンガーと呼ばれ、日本では差し詰め琵琶法師だろうか、いわゆる吟遊詩人がお国を回って即興演奏を繰り広げまた同時に情報伝達の役割も担っていた。そういう音楽は教会での音楽と違って楽譜として残されているものがほぼない為今に伝えられていないわけだ。

このアルバムでは主に宮廷での恋歌集となっている。通常のトルバドールは旅芸人(とは言っても騎士階級などで出自の高貴な方が多かったそうだが)なので2ー3人程度だが、このアルバムでは5−6人の多めの編成にしており、より中世風の典雅な雰囲気が醸し出されていて、素朴な単旋律の歌声に豊かな彩りを加えている。早期音楽の世俗歌を聴く度に思うのだが、1000年経っても人間の基本的な情感と言うものは全く変わっていないんだということを強く感じる。

2022-659