Lobgesang - 讃歌(2)ドイツ語との闘い
新しい合唱指導者、柳嶋耕太先生がいらっしゃいました。まず時間をかけて体をほぐし、発声練習のあと、取りあえず通しで全曲歌いました。
先生が帰国されるまでに全曲目を通して歌っておきましょうね――、と、さらってはみたものの、曲そのものが難しい上に、歌詞はドイツ語です。まだ「歌」とはほど遠い出来でした。
じゃあお前ら今まで何歌ってたんだ? ってことになりますが、レパートリーは第九とメサイア以外、全部ラテン語です。ラテン語だって発音、難しいです。でも最低限“r”は巻き舌、あとはローマ字読みでなーんとなく歌えるのですよ実は(あくまでも、うちの合唱団はそうだという話です)。それにどれもミサ曲。歌詞の大半がミサ通常文から引用されたもなので、10年も歌っていれば何とかなります……なってないかもしれないけど。
そんなわたしたちを、柳嶋先生はびしびしと鍛えてくださいました。
これまでのわたしたちは、1回2時間超の練習で1曲をさらうのが精いっぱいだったのに、柳嶋先生にかかると2曲、興が乗ると3曲練習できました。大学でみっちり合唱指導を学んできたばかりというのもあるでしょうが、先生は楽譜を読み込み、2時間の練習時間を可能なかぎり有効に使おうと努力されたのだと思います。
練習の環境が格段に改善されたというのに、わたしたちはまだ苦心していました。
ドイツ語です。
定冠詞のderですら、「デア」にも「ディア」にも「ディー」にも聞こえる。どう歌えばいいの? 仕事の合間に楽譜を眺め、外出するときには音源を聞きまくり(iPhone 7に乗り換えたので、Bluetooth対応ワイヤレスイヤホンを探していたのはこういう理由からでした)、11月になると寝床にまで楽譜を持ち込み、開いたまま寝落ちするように。こんなに苦労したのは今回がはじめて。
ただ頭を冷やして考えてみると、derは定冠詞なんだからそんなにきっちり発音しなくてもいいんですよね。ふだん英語でみんな、aとかtheとかさらっと流してるよね(もちろん、強調して伝える局面はあるけど)。だからderの発音はもう「デア」で、キーワードの発音に的を絞ることに。
そして本番は刻々と近づいてくる。なんというタイミングだろう、初校ゲラ、専門分野ではないけど、サポートしてくださるプロジェクト・マネージャーさんのおかげで気持ちよく仕事できている案件と、本番前の怒濤の練習ラッシュが絡み合うように重なっていく。
乗り切れるのか、おれ。
#ドルジ文學 をTwitterに書きながら、実は焦っていた師走前半のアダチでありました。