イギリスと北朝鮮の関係と北朝鮮国内の実情
著:大澤史來
先日イギリスのメディアでも北朝鮮の代表、金正恩が危篤であり、妹の与正が国を動かしていると報道されている。
北朝鮮との関係
その北朝鮮とイギリスは2000年から国交があり、両国それぞれに大使館を設置し、外交官を駐在させている。しかしイギリスは5月下旬に大使館を閉鎖。
1973年から北朝鮮と国交のあるスウェーデンも今月、自国の外交官を全員出国させていてる。その理由は新型コロナウィルス対策のため北朝鮮国内が極度のロックダウンであると関係者は述べた。北朝鮮メディアは国内の感染者は一人と報告している。
イギリスの北朝鮮への制裁
6月には北朝鮮はイギリス政府が北朝鮮の刑務所収容所における強制労働、拷問及び、殺害に関与している2つの組織に対する制裁を発表したことを非難しており、両国は微妙な関係になっている。
脱北者の住むニューモルデン
ロンドン郊外の南西部、ニューモルデン地区には多くのハングル語の文字と焼く肉屋の店が立ち並ぶ。ここに約600人ほどの北朝鮮人が暮らしている。彼らは脱北者であり、難民としてイギリスに入国してきた。
2007年頃は約20人の脱北者がニューモルデンに暮らしていたが、新しい人生をスタートさせたい北朝鮮人の数は年々増していった。
金正恩の健康問題と危篤説
2012年に就任した正恩は、2014年にすでに重度の糖尿病を患っており、同年秋に行われた軍事集会では足を引きずり、杖で体を支える姿が放映されている。この集会の数ヶ月前の4月には北朝鮮男子全員に金正恩と同じ髪型をするように政府より指示を出している。これは影武者の募集であり、同じ顔の同じ体型の全く異なる人物を探し出していた。
事実、同年10月には杖をついていた金正恩は、全く正常に歩く姿が映された。しかし、これ以降、2012年とは異なる特徴の耳、歯の形をした人物を見ることになる。また、2012年(金正日の後継者)以前で、ヨーロッパでの学生写真などに写っている耳の形をした正恩は見当たらず、2014年以降、彼が生存しているかどうかさえ不明である。これは米朝会談の時でも同じであり、最も数多く出ている「金正恩」がメディアの前に現れているに過ぎない。
北朝鮮の政治
北朝鮮の政治は「北朝鮮労働党組織指導部」によって管理され、金正恩の独裁政治ではなく、外交なども組織指導部による決定で動いているため、金正恩が本物か偽物かは問題ではない。一部の間では「金正恩」とは言っているが「組織指導部を含めた金正恩という北朝鮮政治の指導部という意味とし、金正恩期間説」を採用している国も少なくない。
金正恩の健康不安説が浮上した背景には、アメリカとの間の核合意、米朝会談での問題がこじれ、大きく取り沙汰されるようになっていた。また、その組織指導部の入れ替えによって制作が変更した場合、外部的には「金正恩期間の変更」が必要となる。場合によっては金正恩の「死」を演出することが可能になったものの、期間変更という観点から金与正への権限移譲ということが噂されるようになる。
金正恩の妹、金与正とは
この金与正が「本物」であるということは誰にも証明されていない。彼女は欧州留学後、北朝鮮の組織指導部の副部長を長期間勤めたとされ、当初ピョンチャンオリンピックの外交において、北朝鮮内における「南北統一外交」の代表として組織指導部から派遣された。
しかし、あまりの韓国の文在寅政権の交渉術のなさと文在寅を通さずともトランプ大統領との首脳会談ができるようになったことなどから、南北統一の必要が一切なくなった。
あくまでもこれは「機関説」であり、金正恩も金与正もそれぞれが本物の金正日の子供であるとは誰も証明していない。ある意味、金正恩及び、金与正は「国家主席役+政府広報」と考えるべきであり、その健康に関する内容は北朝鮮の政治路線変更を示していると考えるべきである。