まちの薬局つれづれ日記 岡村薬局(大阪府)vol.3
日常の中で感じるあんなこと、こんなこと。
class A 薬局の仲間で、岡村薬局(大阪府)薬剤師の岡村俊子さんがお届けします。
『ちょっと違う?薬局』
岡村薬局は平成23(2011)年から毎年、薬学実習生を受け入れています。初めのころは1年に1~2人でしたが、最近は5、6人受け入れることが多くなり、今までの合計は34人になりました。きっと今は病院・薬局・保健所・製薬会社等でバリバリ働いているでしょう。
その実習生たちが不思議そうに必ず口にすることが3つあります。
①医療用医薬品以外のアイテム数が多い!
実習第1週目に薬局内のアイテムを確認してもらう目的で、薬局の待合に置いてある商品のホコリ取りと賞味期限(あるいは使用期限)の点検をしてもらいます。
OTC、衛生材料、介護用品、サプリメントはもとより、大阪の奥さま方のコミュニケーションツールである飴ちゃん等食品の種類の多さに驚くようです。
患者さんは調剤が終わるのを待つ間に目についたものを購入され、SNSほどではありませんが、彼女らの口コミ力によりジワリと情報が広がるのです。実習の最後に「この中で不要と思うものは何か?」と実習生に尋ねて商品の入れ替えを検討することにしています。
②なぜか化粧品を置いている?
もともと義母が始めた資生堂チェーンストアでしたが、ドラッグストアや通販に押されてお客さまが減り、取り扱いをやめようかと考えたこともありました。でも高齢のお客さまは化粧する機会が少なくなったとはいえ、何かしらお肌などの悩み事を持っていらっしゃるのに相談する場所がないのです。お客さまのお悩みに合わせて、使い方がシンプルな化粧品をおすすめするようにしています。
③お客さまとの距離が超近い?
お客さまは地域住民であることが多く、その方の生活状況を把握できています。薬以外の相談……例えば家族のこと、介護で困っていること、健康への不安、測定器具の使い方、地域の医療情報、地域住民の消息等いろいろなことに対応するので距離を近く感じるのでしょう。
たぶん実習生は大学では主に医薬品や調剤のことしか教わってきていないので、町の薬局が関われることの多さに驚くのだと思いますが、薬局は調剤だけをする場所ではなく地域住民のファーストアクセスなのです。
さて…今、彼らはどんな薬剤師になっているのでしょうか。再会が楽しみです。
text by 岡村俊子(おかむら・としこ)
京都薬科大学卒業後、ロート製薬勤務を経て専業主婦に。その後、三人娘の子育てをしながら亡夫の実家である岡村薬局のパート薬剤師になる。平成22年より開設者・管理薬剤師。現在はまっている趣味は海釣り。