【Album Review】Chicala Lpis - oltre la tragedia【同人音楽】
2017年に開催されたBMSイベント「第14回自称無名BMS作家が物申す!」にて、優勝した経歴を持つChicala Lpis氏のデビュー・アルバムは、印象的な瞬間が多く見られる佳作で、リリースから5年ほど経った今でも、この作品が持つ仄暗い趣は衰えていないと個人的に感じる。
個人的に、前に紹介した「Phant Solo II」が瞑想的或いは儀式的な趣を持つ民族的な同人音楽の作品とするのであれば、こちらの「oltre la tragedia」は仄暗いと言えどもスペイン音楽からの影響からなのか少々情熱的な瞬間が多い作品であると言える。
中でも前述したイベントでの優勝作である目玉のトラック、「Tragedia ~Granforte~」は爆発力のある展開が非常に魅力的な楽曲で、今聴いてもその傑出した構成感について軽く頷けるほどの完成度を持ってると個人的に感じる。
他に特筆するとしたら、BOFU2017で出展された、スペイン音楽の色をかなり濃く感じさせられる「Käfig」や、執拗に繰り返される幻惑的なアルペジオの上に壮大なオーケストラが乗る「Sacrificio」が魅力的で、いずれも構成感の良さという部分においてその出来栄えが認められる。
また、この作品について音楽性の多様さという部分でも大々的に語れると思っており、例えば「Fluchpuppe」はかなりゴシック的だったり、「Dead tree」や「Sea you」はニューエイジ・ミュージックを彷彿させられたりと、一筋縄でその音楽性について語れない側面もある。
オープニング・トラックのように、特筆性が少々薄く、印象が弱く感じられる瞬間もあるが、基本的に一貫して“悲劇性のある”メロディアスな雰囲気は保たれており、この作品が取っ付き易い佳作であるのは間違いないと全体を通して感じられる。
1.Tragedia ~Prelude~ - 4/10
2.Käfig - 8/10
3.Fluchpuppe - 6/10
4.old lady - 5/10
5.Dead tree -7/10
6.Sacrificio - 8/10
7.Tragedia ~Granforte~ - 9/10
8.Sea you - 6/10