多田武彦の「ミスマッチ」について 及び 「追加」 2022.05.12 08:47 多田武彦の漢字の読み方は,詩人の読み方や慣用的な読み方と異なるものが散見される。「室」のように辞書的に多田が正しく,詩人の慣用的な用法は辞書的に不可なケースもあるので,これを「多田の読み間違い」とするのは適切ではない。ここでは誤読も含め「ミスマッチ」と呼び,初期の作品で例を見ていく。 多田や作品をおとしめる意図は毛頭なく,フラットにミスマッチの事例と起こった理由をいくつか集め,多田の作曲スタイルと関係付け考えてみる。全4回。 『多田武彦の「ミスマッチ」について(1)』 本来なら「補足」とする内容だけれど,「補足」は既に使ったので,このタイトルにする。前回の記事は,多田武彦の詩の読み方(発音の仕方)は,詩の写し間違い以外は辞書を引いて読み方を当てたがゆえに,一般的な(慣用的な)読み方と異なるミスマッチがあることをみた。 ここでは,漢字の読み方について,これ以降に得た知見をまとめる。その前に,前回は書かなかった多田の男声合唱組曲「木下杢太郎の詩から」について,ミスマッチを考察する。 『追加 多田武彦の「ミスマッチ」について (1)』