「オランダへ、ようこそ」 2017.12.23 18:21 私はよく障害を持つ子供を育てるって、どんな感じか聞かれることがあります。障害児を育てるというユニークな体験をしたことがない人が、 理解して想像できるようにこんな話しをします。出産の準備をするというのは、すてきな旅行の計画をすることに似ています。例えば、イタリアへの旅。旅行ガイドを数冊買い込み、現地での行動を計画します。ローマのコロシアム、ミケランジェロのダビデ像、ベニスのゴンドラ。簡単なイタリア語を覚えるかも知れません。とても、わくわくします。そして、何ヶ月も待ちに待ったその日がやってきます。あなたはカバンを持って、いよいよ出発します。数時間後、あなたを乗せた飛行機が着陸します。スチュワーデスが来て、 「オランダへようこそ。」と言います。「オランダですって?」と、あなたは驚きます。「オランダってどういうこと?私はイタリアへ行くはずだったのよ!ずっと前からの夢だったのよ!」しかし、飛行計画が変更になり、オランダへ着陸したのです。あなたはそこに残らなければなりません。ここで考えて欲しいのは、あなたは、不快で汚くて、伝染病、飢饉や病に侵された ひどい場所に連れてこられた訳ではないという事です。ただ、ちょっと違う場所であるという事です。そこであなたは、 新しい旅行ガイドを買わなければなりません。そして、 全く違う言葉を覚えなければならないのです。また、 今まで会ったことのない人々に出会うことになります。ちょっとだけ違う場所へ来てたのです。イタリアに比べて、時はゆっくりと過ぎていき、イタリアのような華やかさはありません。でも、しばらくここにいて息を深く吸ってみると、 周りをみわたすと・・・・・ オランダには風車があることに気がつきます。チューリップも。オランダにはレンブラントもあります。あなたの知人たちは、イタリアへ行ったり来たりして、とても楽しい時間を過ごしたと自慢します。あなたは残りの人生、こういい続けるでしょう。 「私もイタリアへ行くはずだったの。そのつもりだったの。」イタリアへ行けなかった痛みは癒えることはないでしょう。失った夢はあまりにも大きすぎるのです。しかし、いつまでもイタリアに行けなかったことを悔やんでいると、オランダのすばらしさや美しさを、 楽しむことは出来ないでしょう。 「オランダへようこそ」は、ダウン症児のお母さん、エミリー・パール・キングスレーさんが1987年に書かれた文章です。涙が止まらないさんの写真