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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

48年革命4-「共産党宣言」発表

2022.05.13 10:51

1848年2月、革命のさなかに有名なマルクスの「共産党宣言」が発表された。「ヨーロッパに幽霊が徘徊しているー共産主義という幽霊が」という有名な冒頭は、共産主義はユートピアで、まだ実体がなかったことを表している。この宣言はドイツ亡命者の正義者同盟の依頼だった。

そして「すべての歴史は階級闘争の歴史である」と言い切る。この頃、マルクスは歴史発展の原動力を、生産力と生産関係の矛盾という思想に到達していた。その矛盾が階級闘争となって現れる。歴史を思想ではなく客観的物質生産に置いたのは、思想の大転換だった。

マルクスは、ユートピア的な共産主義ではなく、現実的に生産手段の社会化、国有化によって共産主義を達成するプロセスを示す。またユートピア的に資本家によびかけるのは無理で、戦うことを提案するのである。ドイツはブルジョア革命の前夜で、まずそれをしなければならないと現実的である。

この宣言は「万国の労働者よ団結せよ」という有名な言葉で終わる。マルクスは、ナショナリズムの時代に、早くも国際主義を唱えた。これはその後インターナショナルとして実現するが、各国の文化的歴史は複雑で、マルクスの考えるような資本主義による平準化は単純すぎで、歴史はもっと複雑である。