🌸ブログで読む『ただいま大須商店街⑬-後編-』~ふるさと~ 2022.05.13 12:45 母の最期の瞬間でさえ‥饅頭を作り続けた父をどうしても許せず、27年も大須の街を離れた久美子。 けれど‥大須の街に再開発の嵐が吹き荒れようとしている今─ 久美子が最後に向き合った場所は‥父が守る、「まつだや」でしたー 🔶前回までのお話🔶 🌸ブログで読む『ただいま大須商店街⑬-前編-』 ふるさと~ 正さん「『まつだや』の饅頭は俺にしか作れんから。」フレデリック「・・・」佐藤さん「・・・」正さん「はははは(笑)」 フレデリック「確か…〈職人気質〉と言うんでしたっけ?日本人らしい心ですね?」 久美子は静かにうなずきました。 正さん「私はね….。先祖代々…100年以上続く、この店の〈こし餡〉の味を守り、受け継いできた。」 正さん「ところが…時代とともに、街が変わり…客層も変わって…。はは(笑)」 正さん「あんたの様な、外国のお客さんも増えた」フレデリック「・・・」 正さん「でも、私は…」アリ「・・・」ツーミン「・・・」正さん「英語が話せん。」 正さん「笑顔もふりまけん」 正さん「そいでね…(笑)こんな格好をして、みんなに来てもらいたいと思ったんだよ(笑)」 久美子「・・・」 正さん「まぁ……うちの饅頭を食べてもらえば…この味の良さが分かる」 正さん「そう、思ってね…」 正さん「この饅頭は、私の…」 正さん「誇りなんだ・・」 久美子「・・・」優太「・・・」 大輔「・・・」佐藤さん「・・・」 フレデリック「本当に、美味しいです。」 正さん「ありがとう。はははは(笑)」 久美子「フレデリックさん?この絵を見て下さい。」 フレデリック「おお~!!」 フレデリック「お花畑ですか…」 久美子「息子が書いた、大須の街です。」フレデリック「Reari?」 久美子「息子には…」 久美子「この街がこんなにもカラフルに見えているんです」 - 回想 -優太「これが!アリ君家のケバブ屋さんでしょ?」久美子「うん!」 優太「これが!ツーミン君家のから揚げとタピオカ屋さん。」久美子「へぇ~……」優太「漫才するところでしょ?」久美子「うん!」優太「これが、スケートするところ。」 優太「後…お参りするところ。」久美子「へぇ~……」優太「で、ね?」久美子「うん?」優太「これが、家だよ!」久美子「優太~!良く描けてるね~!」優太「ふふ(笑)」 久美子「花畑に広がる花は、どれも一つ一つ違います。」フレデリック「・・・」久美子「大須には千を超える、様々な店があって…。その一つ一つが、個性的で魅力的なんです。」フレデリック「・・・」 久美子「最先端の街は美しい金色かもしれません。」フレデリック「・・・」久美子「ですがこの街は…」 久美子「花、一本一本が懸命に咲き誇って、輝きを放っています。」 正さん「・・・」 久美子「統一感はないかもしれませんが…」大輔「・・・」 久美子「この街で暮らしている人たちは…」佐藤さん「・・・」 久美子「この街が大好きで、街を愛しているというルールで繋がっているんです。」 フレデリック「・・・」 久美子「大須は…。ずっと、ずっと昔から、そうやって…」 久美子「人が街を作り、街が人を育み続けて来ました。」 正さん「・・・」 優太「・・・」アリ「・・・」久美子「色とりどりの個性が集まった…」 ツーミン「・・・」大輔「・・・」 久美子「何でもありの…」佐藤さん「・・・」 久美子「何でもそろう、ごった煮の街…!」 久美子「大須は世界中どこを探したって、ここにしかないと思います!」 フレデリック「久美子にとっても、特別な街なんだね…?」久美子「はい…。大切な人たちが暮らしている街です。」 久美子「日本の言葉で、"ふるさと"と言います。」フレデリック「・・・」 フレデリック「"ふるさと"。素敵な響きだ。」 フレデリック「・・・」 久美子「・・・」