2014/9/16
2014.09.29 07:29
6608 終電の五分前柱の陰で今日最後から二番目のキス
6607 もう手には触れられなくてまた少し遠いひとです賑わう駅で
6606 次会える約束はいつもないままに横顔ばかり見上げて歩く
6605 触れたなら必ず離れるお終いをいたいいたいと重ねて痛い
6604 (いつもより多めにぎゅっとしてほしい)口にせずとも終わらないハグ
6603 見失う意識の先で待っている腕に包まれいま、うまれたの
6602 下降するたびひとつずつ確かめてこの夜きりの占有権利
6601 始まりはいつでも同じ舌先と指に正しく芯は震える
6600 背中には泡塗りつける手の熱と引き寄せられた鼓動の記憶
6599 汗掻きな腹に流れるひとすじを舐めとるひとの陰りのない目
6598 簡単に剥かれてしまう夏服で何度あなたに会ったのだろう
6597 とりあえず広いベッドに投げ出した撫でられるためだけの存在
6596 この部屋であと何時間泳げるの手を離す刻ばかり浮かんで
6595 二回目の記憶微かな電飾を頼りにくぐる古びたドアー
6594 迷いつつ漂う街のぴかぴかとまばゆい夜につがいの魚
6593 手を繋ぎふらふらとゆくこの街の秋の匂いも忘れた夜を