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KohagiUta

題詠100☆2021 投稿100首

2022.01.03 07:46

2011年からの毎年2月のお楽しみ「題詠100」!(旧「題詠マラソン」「題詠blog」)
現在はFacebook上で行われているイベントですが、今年も特別に許可をいただきTwitter上でお題に参加させていただくこととなりました。五十嵐さん、そして取り次いでくださった中村さん、ありがとうございます。

11回目の参加となる今年は、すっかりスランプになってしまって題詠をすること自体が難しく、結局期間内完走ができなかったのですが、なんとか年内ぎりぎりには完走することができました。
以下、今年の題詠100首です。(番号:お題/短歌)


2021-001:求/たいせつな人はつぎつぎいなくなり求めるほどに消える陽炎
2021-002:悲/脳みそのなかにひとつも悲しみはなくてないのになぜ眠れない
2021-003:店/あの角にまた新しい店は建ち冬の記憶も明け渡される
2021-004:普通/普通にというその普通が遠くって花のない薔薇園を歩いた
2021-005:絵/絵のなかの彼女はしあわせそうに笑むわたしが描いたわりにそんなに
2021-006:宛/ひきだしの奥でしずかに疼きだす宛先を書けない封筒は
2021-007:隔/隔絶のないせかい春のベーカリーショップでトングをかちかち鳴らす
2021-008:案/別案を提示できれば承認をしてくれますか、さきの告白
2021-009:きっかけ/きっかけはいつもあなたがくれたからこのさよならも先に言ってよ
2021-010:回/決められた場所から逃げることもせず浮き沈みする回転木馬

2021-011:外/外側のわたしはいつも晴れていて内側にさす傘を持たない
2021-012:洩/木洩れ日のようなかなしさ とくべつな「すき」をあなたは笑って流す
2021-013:匹/一匹と二人の部屋が一匹と一人になってすこしさむいな
2021-014:料理/チーズ料理をひたすら食べる嫌われるほど重くなりたい夜もある
2021-015:机/淡い午後が机の上に連れてきた春に終わりを急かされている
2021-016:拡/二本指できみの心を拡大しちいさく隠れた本音をさがす
2021-017:ガラス/振動で割れてしまえるガラスならよかった 震える手を握り込む
2021-018:区/明らかな区別はあって選ばれないほうの個体として爪を切る
2021-019:未/未発達なわたしでもいい雨の日は胎児の形でふとんに潜る
2021-020:忙/忙しいって便利な呪文 一ヶ月LINE見ないね冬が終わるね

2021-021:国会/極寒の今日は雪国会えないでいる言い訳をくれる神様
2021-022:族/なんとなく八年は過ぎなんとなくきみとは家族になれないと知る
2021-023:導/穏やかな笑顔で切り落とされていく怒りへ続くこの導火線
2021-024:脚/脚本が次々と書き直されてハッピーエンドに辿り着けない
2021-025:昼/お昼時だったことだけ覚えてる呆気なく終わりは告げられて
2021-026:挙/欠点はいくらでも挙げられるけどそこを嫌いになれない だめだ
2021-027:宜/この店を出れば他人に戻るから適宜解散、その後は自由
2021-028:立/もう三本電車を逃し立ち尽くす「じゃあね」を言ってくれないせいで
2021-029:姓/姓の欄にきみの苗字を書いてみる 書いてみるだけすぐに消すだけ
2021-030:ウイルス/さみしがりウイルスが暴れたせいで数年ぶりに送ったLINE

2021-031:主/主電源ごと切るように鮮やかに「もう会わない」と言ってください
2021-032:恒/記憶から零れた光で生きていく遠く恒星だったあなたの
2021-033:多分/多分もう会わない人だ毎日を一緒に生きるはずだったひと
2021-034:信/信頼はたったひとことでぐらついてどうしようもなく白みゆく空
2021-035:替/もうきみを明るく照らせなくなって取り替えられるための接触
2021-036:裁/外灯もない甘いだけの道をゆく裁かれる日を遠く知りつつ
2021-037:送/まだ浅い夜の向こうに見送ったあなたのいない朝焼けがくる
2021-038:反/反りかえる心を無理に撫でつけてきみに嫌われないための嘘
2021-039:憶/逃げ出してしまいたくなる色のない記憶の果ての街の路地裏
2021-040:コミック/いつだって返せるはずのコミックを返せないまま他人になった

2021-041:斜/心臓が斜めに揺さぶられるようなときめきをただ待ってしまって
2021-042:該/本日も該当者ゼロ 内側に風の煩い冬枯れを抱く
2021-043:慕/横恋慕みたいなことばを弄ぶあなたの声だけはすきだった
2021-044:平均/なにもかも平均的な人間の営みらしく飾る秋桜
2021-045:項/すきなとこきらいなとこを項目に並べてそうか、まだすきなのか
2021-046:描/脳内の受信感度が鈍くなりきみを正しく描画できない
2021-047:旦/このままじゃ壊れてしまう強い手を離してほしい一旦でいい
2021-048:出/閉じたままでもうつくしいりんどうのずるいね、声も出せないでいる
2021-049:徒/一生徒くらいの距離で名を呼んでくれていいのに くれたらいいのに
2021-050:技/競技でもないのに待たせないように全速力で打ち込むLINE

2021-051:グリーン/なんの役にも立てなくてあのひとのフェイクグリーンにすら負けている
2021-052:燃/いつだって笑っているよ(脳内で山のひとつも燃やしたけれど)
2021-053:工/工程をいくつも飛ばして辿り着くさよならだからこんな軽いの
2021-054:娘/娘より娘らしいと言うひとの前より痩せた肩を支える
2021-055:拾/捨てるならきれいに捨てて 捨てられたことにも気づかないままでいい
2021-056:速/ありがとう そんなに速く立ち去ってくれてきちんと傷つけてくれて
2021-057:順番/順番にかなしみはくる気づいたらもう大波に攫われていて
2021-058:箋/関係に答えがほしい出すことのない便箋に文字を吐き出す
2021-059:復/十五分顔を見るためだけに乗る往復三時間のJR
2021-060:六/六月のあなたは嫌いやさしげな声にも湿り気が漂って

2021-061:いっぱい/流れゆく雲の数すらわからない脳があなたでいっぱいすぎて
2021-062:禍/外灯がつくる闇なら飲み込んでくれるでしょ禍々しい恋も
2021-063:正/正解がわからないまま走ってるレールに足を削られながら
2021-064:笹/笹の葉に切られたゆびがまだ痛む返せないままの太い傘の柄
2021-065:否/否定形で話すあなたと過ごす日々さむさは冬のせいだけじゃない
2021-066:ウルトラ/ウルトラの母と呼ばれて雨の日のツインテールを嫌いになった
2021-067:炒/炒めればなんでもだいたい食べられる もらった悪意も刻んで混ぜる
2021-068:去/どのひとも去るときの背中はきれい またひとり離れてゆく背中
2021-069:農/指先でつくる農園 会話のないカフェに独りと独りで過ごす
2021-070:筋/無心にはなれなくなった いんげんの筋を取るときすら浮かぶひと

2021-071:女/「彼女とか呼び方はどうでもいいよ」ずるいあなたはいつもやさしい
2021-072:物語/物語にはなれなくて君を待つこともないいつもの朝の駅
2021-073:滞/返信が滞るまま動かないトーク画面にまた雪はふる
2021-074:圧/あのひとの機嫌で気圧も変わるからいつもの頭痛はたぶんそのせい
2021-075:忌/忌避剤があるといいのに何気なく入った店に聞く君の声
2021-076:ごみ箱/すこしだけ泣きたくなってごみ箱に捨てたきのうを取り出してみる
2021-077:上/なんでもない存在なのだと思い知る上機嫌で語られる裏切り
2021-078:菓/あのひとがくれる菓子よりあたたかくあまいひとりの夜のココアは
2021-079:隠/絞り出す言葉の隅に隠してた恋のしっぽがひらひらゆれる
2021-080:尚/尚更に離れたくなる遠からずこいびとになってしまうあなたと

2021-081:あさって/あさっての自分の気持ちもわからない変わるものしかないこの世界
2021-082:太/食べただけ太る体だ君からの甘いことばも断ちたい夜更け
2021-083:欧/欧米のツリーのように大袈裟に3、2、1でともる恋の火
2021-084:顔/顔よりも中身が好きというひとの黒子のひとつまで好きだった
2021-085:蘇/蘇る さくら、青空、エスケープ 年賀はがきにはるかな名前
2021-086:簿/知らぬ間に薄まっていた感情を取り戻す火のない冬の朝
2021-087:苦手/やさしすぎるあなたが苦手 見合うほどのことばひとつも返せなくなる
2021-088:膚/指さきの皮膚から溶けて沁み込んでくる沈黙のきみの感情
2021-089:粋/強すぎる百合の香みたいに放たれる無粋な人の恋を請う声
2021-090:稼/フル稼働してくれないか忘れたいあなたの夢を食べ尽くすバク

2021-091:看/ゆさぶられ看守が鍵をひらきそう閉じ込めた想いのねむる檻
2021-092:装/早足で目を伏せてゆく赤緑白で装う冬のビル街
2021-093:ラベル/「もういらないもの」とラベルを貼っていく消えてくれない思い出たちに
2021-094:規/どこまでも真面目なきみが憎らしい規則正しい寝息でさえも
2021-095:価/価値観を共有できない人ばかり増えて震える葉のない木立
2021-096:年/なにもかも不調で終える一年が明ければきみは戻るのですか
2021-097:働/働いて働いてまた働いていれば忘れていられる不在
2021-098:詫/詫びるなら詫びるからどうかたいせつなひとを攫わずにいて、神様
2021-099:昇/つかまえた上昇気流に身を任せきみと雲まで飛ぶ初夢を
2021-100:嬉/年越しを共に迎える嬉しさを知れたことだけが今は嬉しい


以上100首、2月17日スタート、最初からかなりスローテンポで、秋以降でがんばったのですが、結局12月31日のギリギリ年内にやっとゴール!
今年の裏テーマは「切なさ」という設定でした。
毎年のお楽しみ「題詠100」、今年も参加できてとても嬉しかったです。ありがとうございました!


★以下、これまでの裏テーマ一覧です。(備忘録)

2011 恋歌
2012 恋歌
2013 学生・学校
2014 大人短歌
2015 痛
2016 色
2017 キャラクターを立てる(女性/30代後半/会社員)
2018 水・液体
2019 五感
2020 食
2021 切なさ