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Classic Music Diary

DORA PEJACEVIC: Piano Concerto, Symphony

2022.05.15 03:35

Pete Donohoe, Sakari Oramo, BBC  (Chandos)

20世紀前半に活動したハンガリーで生まれたクロアチア系女流作曲家、ドーラ・ペヤチェヴィチ(1885-1923)。高貴なクロアチア貴族の生まれなのでお城で育ったそうでかなりしっかりした教育をされていたのだろう。音楽だけでなく広く文芸の教養も持ち合わせていた為当時の著名な文人達とも交流を持っており、そういう知的なセンスが作曲にも充分に生かされていると想像される。卓越したピアニストとして活躍していただけでなく作曲の才能もあり、ピアノ曲がほとんどだが58曲を残した。残念なことに38歳という若さで亡くってしまい、その後、作品はほぼ全く出版もされずに自筆譜のまま保存されていたが、その作品の独自性と質の高さゆえに最近は再評価されつつある。ピアノの小品、室内楽を中心として作曲してきたぺヤチェヴィッチにとって初の管弦楽作品となったピアノ協奏曲は、まさに浪漫派の音楽。音階を広くとったダイナミックなピアノとロマンチックなオーケストラパートを持つ曲で、知らないで聴くと、ショパン、シューマン、或いは後期浪漫派のラフマニノフの知らない曲だろうかと思うかもしれないが、自身のオリジナリティに溢れている。それは作曲の多くを独学で学んだからかもしれない。交響曲についてはこれが初録音かもしれないが雄大な曲でとても興味を持って聴いた。両曲ともとても良く、眠らせておくには勿体無い作品。これはサカリ・オラモとオーケストラのBBCの演奏がいいというのもある。既に著名な指揮者となっているサカリ・オラモは彼女のように陽の当たって来なかった傑作の発掘録音に熱心に取り組んでおり、Chandosからはシリーズのような形で次々とリリースしている。このアルバムはSACDでも発売されたのでかなり自信を持っていることが窺える。前回は同じく女性作曲家のエセル・スマイスだった。スマイスは一足早く再評価されて録音も多いが、ぺヤチェヴィッチも今後のリリースが期待される作曲家だろう。

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