『W旦那+(プラス)』第102話 三代目妄想劇場
2017.12.25 23:00
翌日…
理愛が店に立っている。
昼休みにやってくるテイクアウトの行列をさばき終わり、休憩中の札を小窓に下げ、入り口の鍵を中から閉めた。
エプロンを外し、カウンターの上に置く。
椅子に腰掛け、自分のスマホを取り出した。
理愛は手慣れた様子で、プッシュする。
『67676969 676769』
2回ほどコールして、すぐに相手が出た。
「どういうつもり?なぜ不在中に来てるの?」
理愛が唐突に切り出した。
相手の声は聴こえない。
「私が気づかないとでも?寝室に痕跡があったわ」
「そういう問題じゃないでしょ?」
「人に危害を加えない下等な種類でも、もしもの事があったらどうするつもり?」
「…5年も待って、ここで事を急(せ)いて、本来の計画が頓挫することにでもなったら…」
「私?私は剛典さんと外にいて…」
「Tはまだ無理です。外では採取できません…」
「え?言ってる意味がわからないわ」
「心変わり?…それは…言いがかりよ…」
「その件についてはまた様子を見て、店で話しましょう」
「…厄介な人が出入りしてるし、以前とは状況が変わったので、次いつになるかは分からないけど…」
「採取した分では、足りないのね?」
「ええ…多めに最良のものを…」
そう言うと理愛は通話を切り、スマホをカウンターへ置いた。
End