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マヤ

『W旦那+(プラス)』第103話 三代目妄想劇場

2017.12.26 23:00

理愛はフーッと深い溜息をついた。






音も立てずに立ち上がり、滑るように厨房の中に入り、冷凍庫を開ける。






設定温度がかなり低いのか、中から白い冷気が溢れ出した。






奥の方にある容器に目をやる。






三つ並んで置かれた銀色の密閉容器の表に

は、






サンプルNo. 1  『O』






サンプルNo.2 『R』






と表示されている。






三つ目の容器には、サンプル  『T』と表書きしてある。






その三つ目の容器を外に出し、理愛は冷凍庫の扉を閉めた。






「プラスサンプルの容器は必要ない」







そう呟くと、理愛はもどかしそうに自分の唇に触れた。





ふと、青く深い瞳が、カップやグラスが並んだカウンター奥の棚に注がれた。





棚の中段に、5年前に撮られた写真が飾ってある。






その写真を見つめ、理愛が低い声で呟いた。









「それにしても、彼はいま…どっち側なのか?」







End