エリザベートコンクール 2022 セミファイナル 1日目
セミファイナルが始まりました。
《Taeguk Mun Corée, °1994》
ハイドンのコンチェルト2番 D dur
世界で一番美しくそして難しいコンチェルトかな。ハイドンっていうと初心者が学習するのに出てくるイメージありますが、このハイドンの2番はとても難しいです。
ただもちろんこういう人たちが弾くと全然難しそうに見えませんが。
彼の演奏は、軽やかで優しさに満ちたハイドンですね。
2楽章も3楽章もこの優しさと軽やかさは維持されたまま終わりました。
この後のプログラムはこちら。
https://concoursreineelisabeth.be/.../demi-finale.../
《Ella van Poucke(Pays-Bas, °1994)》
次のこのオランダ人の女性は、ハイドンの1番。
落ち着いておおらかで明るい。
今日の人は誰も第1次予選は聞いてないので、皆さん初対面です。
ハイドンの1番は2楽章がこの上なく美しいです。
そして3楽章のこの疾走感。この人はバロックチェロのようなプリミティブな音を時々出しますね。女性だけどどっしりとした力強い芯が通っていて素晴らしい。年齢も上だけど、全然学生っぽくない、安定して聴く側を満足させてくれる素晴らしい演奏でした。
セミファイナルからは、RTBF(放送局)の解説(おしゃべり)が入りますね。
あ、インタビューも入る。Ella van Pouckeさんが話してます。
《Anton Spronk (Pays-Bas, Suisse, °1994)》
長い休憩の後、リサイタルが始まりました。
オランダのSporonkさん。
LUDWIG VAN BEETHOVEN Sonate n. 4 en ut majeur op. 102/1
ROBERT SCHUMANN Märchenbilder op. 113
DAAN JANSSENS Wie aus der Ferne
ANTONÍN DVOŘÁK Klid (Silent Woods) op. 68/5 B 173
GABRIEL FAURÉ Papillon op. 77
この人の音の出し方はすごく特徴があるように思います。どう言ったらいいのかなあ。音をぎゅーんと出すというか、びゅーんと出すというか、そういう感じ。
ベートーヴェンの4番はコロナの始まるくらいの時に練習していた思い出の曲だけどほとんどディテールは忘れていて悲しい。それはともかく、誰にも似ていないベートーヴェンで、でもしっかりベートーヴェンで、よかったです。
シューマンのおとぎの絵本はビオラのための曲ですね。チェロで弾くのを初めて聴いたと思います。
堂々とした演奏と言えます。
さて世界初演となる新曲です。題名はドイツ語ですが、Google翻訳にかけたら英語で「As if from afar」(遠くからのように)となりました。
クジの順番で彼が初演することになってしまった訳ですが、思い切りのよいしっかりと解釈の整った演奏に感じます。なんか途中で配信が止まって真っ暗になって、また繋がった時は曲の最後の1音でした。
それから、ドボルザークと、フォーレの蝶々、蝶々はやはり私にとって想い出の曲です。当然すごく上手だけど、もう少し浮いた感じが好みかな。
《Woochan Jeong(Corée, °1999)》
CLAUDE DEBUSSY Sonate en ré mineur
DAAN JANSSENS Wie aus der Ferne
FRANZ SCHUBERT Sonate en la mineur D 821
なんか、前のAnton Spronkさんが終わって、この韓国のWoochan Jeongさんが始まったら、ホッとしました。正直、ちょっと彼のぎゅーんに疲れてしまったのかも。
このWoochan Jeongの音は優しい。曲もドビュッシー、そして新曲もそんなに力が入った感じでなかった。(ここまではちょっと用事をしながらだったのでそんなにちゃんと聞いてませんでしたが)シューベルト(アルペジオーネソナタ)に入ったら、この人のいいところがすべて出るような心優しい歌が流れ出てきました。深い低音も素敵。
プログラムとしてはソナタ2つで、作曲家としては2名なので、いろんなキャラクターを出せることをアピールするに至っていないかもしれないけど、何か、気持ちよかった。
結局、多彩な色とかキャラクタを出せて、しかもその人ならではの独自性もあるという人が一流の演奏家なんだろうと思う。難しいことだ。でもこれだけもうちゃんと弾ける人たちにはそうなれる可能性も絶大だと思う。
アルペジオーネソナタも難しいことでも有名な曲だけど、Woochan Jeongさんはたっぷりと余裕を持って歌い切った感じですね。