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原風景を巡る旅レポート1

2022.03.31 00:45

まづくりの仕事をしていたこともあり、少し違った角度からその土地を見る癖がついています。

心にしっかり刻み込まれる魅力のある土地とは。

大分県由布院の冬の早朝、幻想的な朝霧の中まちを散策した時には純粋に心が踊りました。

朝霧の風景を少しでも長く体感したいと、いつもの癖でズンズン観光地から離れた場所にまで足を延ばします。

いつの間にか静かな住宅街に足を踏み入れており、そこにも温泉の湯気が立ち上っている建物がありました。

「共同温泉」の看板と、住民以外使用禁止の注意書き。観光客の使用はお断り。

しっかりと線引をされていました。

地元の人しか知らない場所、地元の人にだけ開かれた場所。

一番に使う人が掃除をするルールもあるとかで、自宅のお風呂を全く使わない方もいるそうです。

全てが表に出て観光地化され、観光に来ている人だけが気持ちよく歩き、滞在するような場所ではなく、観光地であっても、観光客が交わること、介入することが出来ない領域がしっかり残っている土地に出会ったときには、心のどこかで安心する自分がいます。同時に見えないルールを意識します。

観光地化することは素晴らしい反面、その場所の風景は形骸化されていってしまうのではないかと少し心配な部分もあります。

しかし、このような観光客がむやみに立ち入ることが出来ない領域があること、それがわかった時、人々の暮らしが確かにここにあることが確かめられます。地方を訪れた時、そこにある風景や風習を、そして住む人達の営みを垣間見た時、初めてその場所の持つ風景が体を通して立ち上がるのだと感じました。