数学確率対策!大問先生の神奈川県公立高校入試問題攻略法
神奈川県公立高校入試問題の攻略シリーズです。
大問先生と三人の生徒(偏差値60以上のAくん、偏差値50のBさん、偏差値40以下のCくん)の掛け合い形式で、入試問題の分析と対策を行います。
今回攻略する大問は、数学の確率!
早速参りましょう。大問先生、よろしくお願いします。
今回の相手は数学の確率!大問の傾向と位置付け
先生「はい、今回対策する大問は、数学の確率でーす。数学の確率は、以前は問4が定位置だったけど、最近は小問になったり問5になったりとあちこちに移動してるわね。サイコロ2つの問題パターンが主流だから対策はそれを中心に行うけれど、くじやカード等他の形式になるっていう予想外のことが起きても心乱されないようにしっかり準備はしたいわね」
A「確率の大問の歴史を見ていくと、例えば25(2013)年度は大問4。26(2014)年度は大問4。27(2015)年度は大問2の小問になってしまいますが、28(2016)年度は大問4に返り咲き。29(2017)年度は大問5という変遷を辿っていますね」
C「そのまま消えてなくなってくれないかな」
先生「あら、Cくんは確率がお嫌い?対策さえ掴めば得点源になるかもしれない問題なのにもったいなーい」
C「え?そうなの。嘘です、すみません。100%の確率で確率が好きです」
先生「ちなみに配点は、25年度や26年度、28年度のように(ア)(イ)(ウ)と三問ある時は各4点。小問のときも4点。29年度で(ア)と(イ)の2問のみになった時は各5点でした。それじゃいつも通りここから過去の問題たちを振り返ってみましょう。今回は古いの4年分用意したわ」
B「けっこう配点も高いですね。私も得意じゃないけど頑張ろう」
先生「数学の目標点数に応じて(ア)だけ解くのか、その後の(イ)や(ウ)といった難易度が高い問題も解くのかを決めたいところね。マークシートになって若干難易度は下がったと思うから、チャンスよ。もちろん点数が取れるかどうかはあなた達次第だけど、きっと大丈夫。私、失敗しないので」
数学確率の歴史を振り返る
先生「改めて。今回は確率の問題の移りかわりを見るために、いつもよりも少し多い4年分を掲載しておくわ。さ、確率の物語をみていきましょう」
26年度(2014年度)の問4確率問題
先生「26年度の問題の答えと正答率は以下の通り。配点はすべて4点です」
(ア) 7/36 (正答率59.8%)
(イ) 5/36 (正答率17.6%)
(ウ) 1/12 (正答率20.1%)
先生「オーソドックスなサイコロ2つ問題よ。こういった問題を【サイコロ2つ型の問題】と名付けましょう。この解き方については後ほど詳しく説明するわね。確率の求め方は【そうなる時/全部】だけど、(イ)と(ウ)の正答率がぐぐんと下がるのは、きっと【そうなる時】の求め方が少し複雑だったからね」
C「(イ)はさ、約数ってことはさ、約数大分解すればいいんだな」 A「素因数分解かな」
先生「CくんもAくんもその通り。確率問題の対策は、この【サイコロ2つ型】をマスターすることからスタートするわ。次の年も確認しましょう」
27年度(2015年度)の問2確率問題
先生「小問に格下げになった27年度の問題の答えと正答率は以下の通り。配点は4点です。ちなみに、この年の大問は同じ資料の活用単元の資料の散らばりに取られた形よ」
(カ) 13/18 (正答率50.5%)
先生「オーソドックスな【サイコロ2つ型の問題】ね」
C「同様に確からしい…って毎回あるな」
先生「確率の決まり文句よ。それによってちょっと文が長くなるけど、余計な言葉に惑わされないようにね」
28年度(2016年度)の問4確率問題
先生「28年度の問題の答えと正答率は以下の通り。配点はすべて4点です。ここが曲者よ」
(ア) 1/7 (正答率68.7%)
(イ) 4/7 (正答率14.4%)
(ウ) 5/21 (正答率15.2%)
先生「何が曲者って、【サイコロ2つ型の問題】ではないことよ。今まで『確率=サイコロ2つ』で準備・対策してきた多くの受検生が、この問題を見た瞬間に驚いたはず。それが正答率に響いたってのもあるかもね」
B「私も動揺しそう」
先生「そうね。ただ、一発勝負の入試で勝つには、動揺しないことも大きな要素になるわ。だからこそ、予期せぬ事は起こるといつも心に留めておきましょう」
ABC「御意!」
29年度(2017年度)の問5確率問題
先生「29年度の問題の答えと正答率は以下の通り。配点はどちらも5点」
(ア) 3 (正答率72.5%) → 1/6が答え
(イ) 5 (正答率25.1%) → 4/9が答え
先生「飾りがいっぱいあって複雑に見えるけれど、【サイコロ2つ型の問題】よ。(イ)は【そうなる時/全部】の【そうなる時】を探すのが一苦労ね。詳しくは下記で対策と合わせて説明するわね」
A「できたはできたけど、本番は時間が心配だなぁ。焦って間違えそう」
先生「上位校を目指す子たちには(ア)も(イ)も(ウ)ももちろん全問正解して欲しい確率の問題だけれど、もしもだいぶ時間を割いてしまいそうなら、潔く後回しにしてもいいかもね」
C「でも確率の問題って言葉とか図とか多くて見た瞬間にうわってなるな」
先生「そうね。数学の問題は、言葉や図表などで飾り付けがしてある場合が多いけど、安心して。きちんと読めれば何が問われているのかを把握するのはそんなに難しくないわ。パット見で「うわ!難しそう」って思ったら負けよ。(ア)は内容が把握できればあとは数えるだけの問題が多いから、腹を括って正解を狙いなさい。じゃあ、それも含めて対策してみようかしら」
大問先生による数学確率対策勉強術式
先生「まずは確率の基本をリズムで覚えてしまいましょう。確率の極意を教えるから、私の後について言ってみて」
ABC「御意!」
先生「ぜんぶぶんのそうなるとき!」
ABC「ぜんぶぶんのそうなるとき!」
先生「そうです、もう覚えたわね。式で書けば【そうなる時/全部】と書きます。これが確率ってこと。例えば、6面体のサイコロで2が出る確率は、【全部】が6通りで、【そうなる時】が1通りだから、1/6ってことね。Cくんも大丈夫かしら?」
C「じゃあ…もしそれが偶数が出る確率を求めるんだったら、【全部】が6通りで、【そうなる時】が2と4と6の3通りだから、3/6で1/2ってことっすね」
先生「おお、いつになくできる」 C「100%確率好きですから」
先生「いい感じよ。確率の問題が出てきたら、まずはこの【全部】を求めましょう。サイコロ2個なら6通り✕6通りで【全部】が36通り。28年度の問題なら、袋pが3通りで袋qが7通りだから【全部】は21通り。まずはこれが大事」
B「確かに【全部】がわかると心なしかちょっとだけ安心します」
先生「そして次に【そうなる時】を求めるんだけど、確率問題の難問はここが難しくなるわけ。まずは前述した【サイコロ2つ型の問題】から片付けていきましょう。この手の問題は、何が何でも6✕6の図を書いて求めるのがベストな対策よ。その名も【6✕6マス図表術式】」
A「そのままやん」
先生「ちょっとAくん書いてみましょう」
A「え?俺!?」 先生「マス目書くだけですから簡単です」 A「えーっと…6と6だから」
先生「そうそう、こんな感じ。【サイコロ2つ型】は必ずこの図表を書きましょう。ちなみに、問題を解いている時はフリーハンドの図表でもっと汚くても自分がわかればいいからね。書けたらあとはこの図表の【そうなる時】に印をつけていくだけ。入試問題で試してみましょうか」
A「じゃあ僕は26年度問4やってみます!」 B「私は27年度の小問(カ)を解いてみます」
先生「そうね、じゃあお願いしようかしら。【そうなる時】を色分けして書いてちょうだい」
先生「二人ともいい感じよ。じゃあまずAくんから説明してくれる?」
A「はい!(ア)は足して5になるのと10になるものに赤丸をつけました。(イ)は210を素因数分解すると2✕3✕5✕7だったから、2✕3、2✕5、2✕7、3✕5…と一つずつ計算していって、一の位と十の位に1〜6が出てくるものを探して緑色の印をつけました。2✕7の14、3✕5の15、3✕7の21、5✕7の35、それに2✕3✕7の42ですね」
C「あ、2✕3✕7もあるのか!忘れた!」
A「ひっかけ的だよね。(ウ)は、ルートが外れる何かの2乗になるときが111以下だと1・4・9・16・25・36・49・64・81・100のときだから、111-3nが36になる(5,5)、81になる(2,5)、(5,2)に黄色い印を書き込みました」
B「私が解いた27年度の問題は、9以上にならないときを求める問題だったから、一つずつ数えてピンクの印をうちました。やっている間に、逆を見つけたほうが早いと気付いて、9以上になるときを求めて青印をうって、印がついてないのが答えってやり方もやってみました。もちろん、どちらも答えは一緒になりました」
先生「二人ともやるじゃん。求めた【全部】を分母にして、【そうなる時】を分子にして、約分したら正解よ。ね、とってもシンプルでしょ」
C「おお、説明だけ聞いたらなんだかできそう感」 先生「その意気よ」
B「先生、サイコロ2つの29年度も同じ感じで解けますか?」
先生「29年度も基本は同じよ。ちょっと文章や図などの飾り付けが多くて複雑そうに見えるけれど、(ア)は大小のサイコロが同じ数のときのことだし、(イ)は60の倍数ってことは2と3と5の倍数ってことだから、『2か4が白・3か6が白・5が白』の条件が合わさるときを数えればいいの。数えているうちに法則に気がつくと楽チンだけど、その【法則の気付き方】は最後に伝えるわね」
A「【6✕6マス図表術式】じゃ解けない28年度のような問題はどう解けばいいですか?」
先生「いいタイミングの良い質問ね。28年度の問題は名付けて【3✕7マス図表術式】で解きます。実はサイコロ以外の確率の問題も【そうなる時/全部】の基本は変わらないし、図表を書くことも変わらないの。くじの問題である28年度も、3(pの袋)✕7(qの袋)の図表を描いて解いていくとスムーズよ」
C「とにかく図表!」
先生「そう、頭に余計な負担をかけないためにも、とにかく図表を書きましょう。パパっと解説もしておくわ。(ア)の【そうなる時】は反対側同士を結べばいいから簡単ね。(イ)は中心角と円周角の知識があると見つけやすい。円周角の定理から∠ABIと∠ACIと∠ADIはみんな60度で同じになるから、それよりも大きくなるときを選べばいいわ。(ウ)はパズルみたいな問題ね。難易度は(イ)のが高いかな」
B「確率の問題には、ルートや素因数分解、図形の知識も使うことが多いんですね」
先生「その通り。というか確率以外もそういった横断型の知識活用問題が増えてきてるわ」
C「それはしんどい」
先生「使うのは基本的な知識ばかりだから安心しなさい。逆にそれらを知っていないと高校で苦労することになるわ。目標が50点前後の子たちはとにかく(ア)を落とさないようにすること。そのためにマス目の図表をキチンと書いて情報を整理しながら解くことを意識しましょう」
A「特色検査を受けるような子たちはどう対策すればいいですか?」
先生「(イ)や(ウ)も正解しなければならない上位校を目指す生徒は、例えば全国高校入試問題正解のような一定の難易度の良問に触れられる教材で、とにかく沢山の練習をしましょう。神奈川以外の各県の入試問題を解くのはオススメよ。それは、数学だけでなく、特色検査の対策にもなるしね」
A「この教材、兄貴が大学版持ってました。僕も塾で英国数版と理社版使ってますが、だいぶ厚くて一瞬だけ絶望しました。でも、頑張ってます!」
先生「自力がつく良い教材よ。塾用教材もオススメだけど、それは塾を通さなくても手に入るしね」
B「教材として過去問はどうですか?」
先生「過去問は同じものが入試に出てくることはないけど、流れを掴むためには最適よ。でも、本音を言えば一問ごとではなく、なるべく通しで時間制限を設けて解きたいところね。古い過去問を使うのもいいんじゃない?とりあえず東京新聞さんのこのサイトに2002年からの過去問があるから活用できるわね。また、リセマムさんのサイトには全国の入試問題が掲載されているわ。さらに、数学好きの生徒のために難関私立高校の過去問など集めた『数学得意な中学生応援します』というサイトも練習問題を探すにはオススメよ」
C「問題はたくさんあるってことかぁ」
先生「嫌な顔しないの。各々自分に合った教材を使っている前提でのお話だけど、あなた達の【数学のセンス】は、解いた問題量が創ります。多くの問題に触れ、意識的でも無意識的にでも一つずつの問題が脳内でパターン化されていけば、前述したような【法則への気付き】が生まれやすくなるのよ。近道はない。コツコツが合格への足音になるの」
C「先生!頑張るから全教科分教材買って!」
先生「致しません!あ、でもオススメプリントなら死ぬほどあげるわ。Cくん、覚悟しておきなさい」
C「あ、まずった」
目の前の生徒を救うというポリシーのもと、圧倒的な腕で数多くの受検生を救いながら、難問良問はびこる入試界に鋭いメスを入れてきたフリーランスの天才講師・大問未知子。群れを嫌い、権威を嫌い、束縛を嫌い、HOME個別指導塾公認講師のライセンスと叩き上げのスキルだけが彼女の武器…
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