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米国一辺倒のわが国へ したたかな外交と国民主権の提言

2022.06.01 05:51

『米中の狭間を生き抜くー対米従属に縛られないフィリピンの安全保障とはー』 猿田 佐世編著、新外交イニシアティブ(ND)、かもがわ出版、2021年、1,430円

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近年の米中対立激化の中で、ASEAN各国は「Don‘t make us choose(我々に米中いずれかを選ばせるな)」という叫びを共有している。それに対してわが国は、米軍と自衛隊の一体化の道をひた走り、米国の世界戦略の一部を担うようになっている。

本書は、こうした国際情勢の中、したたかな外交を展開し、「米軍基地なき安保」を貫くフィリピンの経験から学び、一歩足を止め、基地の負担にあえぐ沖縄への回答をも考えるきっかけとなることを意図している。フィリピンが米軍基地を撤去させた経緯やそれを実現した市民の動き、撤去後の状況や訪問米軍地位協定、防衛協力強化協定など、「米軍基地なき安保」の実像とともに、こうしたフィリピンの抵抗の歴史の中で、主権者である国民が声を上げ、常に議論し、自らの国を変革してきたことが描き出される。

「米軍基地なき安保」を志向するフィリピンの経験は、わが国の安全保障、就中沖縄の米軍基地問題を考える上で大きな示唆を与えてくれる。(吉村)

(ひきとり新聞第13号のニュースを順にテキストで紹介していきます。)