「宇田川源流」【現代陰謀説】 ロシアのウクライナ侵攻期間中にアメリカと中国は台湾でつばぜり合いの現実
「宇田川源流」【現代陰謀説】 ロシアのウクライナ侵攻期間中にアメリカと中国は台湾でつばぜり合いの現実
毎週金曜日は「現代陰謀説」をお届けしている。まあ、最近では「陰謀」というよりも、「裏外交」というような側面が多くなったので、お題を「裏外交」に買えるかどうか、かなり真剣に迷っているところだ。実際に、私が書いているレベルの話を「陰謀」と呼ぶのは、いささか大げさなような気がしてきている。
もちろん、陰謀そのものに関して全くわかっていないわけではないが、どんなに優秀な人であっても、世界中の陰謀そのものをすべて把握しているわけではないし、また、その陰謀に対抗する策(カウンター)を把握しているわけでもないのである。基本的には、どこの国であっても、自分の国に関係があること、自分の国に対して禍となって降りかかってくることだけをしっかりと把握しているのであって、それ以上のことは知らない。つまり、仕掛けているか、仕掛けられていることしか見えていないというのが普通なのである。アメリカやイギリスのような大きな情報部を擁している場合であっても、基本的には、同盟国の範囲くらいまでしか把握していないので、それ以外のことはほとんど見えていないということになる。
この事を応用してみてみれば、今年の2月24日よりも前に、アメリカがウクライナ位国教におけるロシア軍の終結や、当時「近くロシア軍がウクライナに侵攻するとみられる」というような発表をしていたということは、単純に衛星画像だけでロシア軍の終結を見ていたのではなく、アメリカが常にロシアの軍の動きを観察し、その内部情報を取っていたということに他ならない。実際に、当時ウクライナの国民も「まさか」と思っている状態でありまた、他の国であっても軍事演習は行っているにもかかわらず、ウクライナ侵攻の疑いだけをしっかりと発表したというのは、アメリカの視点もよく見えてくるということになる。
もちろん、日本の政府は、ロシアが海を挟んだ隣国であるにもかかわらず、その隣国の戦争や軍の情報も持っていないどころか、その同時期にロシアが、オホーツク海で中国の艦隊と共に1カ月に及ぶ長期間、サイバー攻撃対策を含む軍事演習を行っていたということも全く発表していない。もちろん、そのよな情報は様々な方面(自衛隊からも、また外国からも)から入っていたにもかかわらず、岸田内閣はその内容を握りつぶし特に警戒するなどの事は行っていないのである。もちろん、岸田維内閣が「ウクライナに侵攻するから、良方面の作戦はあり得ない」と判断した可能性もあるので、何とも言いようがない所ではあるが、しかし、あのままウクライナは侵攻せずに北海道に来る可能性もあったということ、つまり、現在のウクライナの悲劇が日本になるかもしれなかったということを、考えるべきではなかったか。
米国務省サイト、台湾独立不支持などの文言削除 中国は猛反発
[北京 10日 ロイター] - 中国外務省は10日、米国務省のウェブサイト上で台湾に関する説明が修正されたことを非難し、「政治的操作」をしても台湾海峡の現状を変えることはできないと指摘した。
米国務省ウェブサイトの台湾の概要説明で、台湾の独立不支持と自国の一部との中国の見解を認める表記が削除された。更新日からは5月5日に修正されたとみられるが、中国や台湾のメディアの10日の報道で広く知られるようになった。
中国外務省の趙立堅報道官は会見で、中国は一つで台湾は中国に属するとし、中華人民共和国が唯一の合法的な政府だと主張。国務省サイトの文言修正は、台湾海峡の現状変更を試みる政治的操作で、米国は自らがつけた火の粉をかぶることになると述べた。
米国務省のプライス報道官は、表現が一部修正されたかもしれないが「基本的な政策に変更はない」と説明。「ファクトシートは定期的に更新している。台湾に関するファクトシートは、台湾との非公式の堅固な関係を反映している。中国に対し、責任ある行動を取り、台湾への圧力を強める口実を作らないよう求める」と述べた。
国務省は、レーガン政権時代の1982年に台湾に提示した安全保障関連の「六つの保証」にも文言を追加した。
台湾外交部(外務省)は、引き続き自衛力を強化し、米国など認識を共有する国々と協力し台湾海峡およびインド太平洋の平和と安定、繁栄の推進に努めると指摘した。
2022年5月11日 6時58分 ロイター
https://news.livedoor.com/article/detail/22139223/
さて、アメリカの情報部であるいわゆるCIAと、日本の政府の差を上記には記載した。私が日本人で、日本に在住しており、そして少なくともアメリカ政府よりも日本政府に対してよく知っているので、日本政府に対してはどうしても厳しい言い方になってしまう。そのことを割り引いてこれから先は読んでほしい。
上記にように、ロシアのウクライナ侵攻前のアメリカの情報部と日本の政府の対応の差はいったい何なのであろうか。
このように考えたときに、ちょうど大河ドラマを見ていた。今週(15日放送)の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」では、義経と頼朝が後白河法皇に翻弄されて対立してしまうところである。この時に、頼朝は北条時政・義時父子を使い、「義経追討のため」ということで、後白河法皇を半分脅迫し、そのうえで、「西国にまで守護・地頭を置く権利」を取得する。最近では征夷大将軍に任命された1192年ではなく、この年、つまり1185年を鎌倉幕府開幕の時とするようにしているが、それは間違いで、守護自党は一室的支配ではあるもののやはり幕府は征夷大将軍に任命されたときであろう。その歴史論争は、また別の機会にすることとして、義経には兵が集まらず、頼朝には多くの兵が集まった。これは一体何か。
義経が見ていたのは、後白河法皇と兄の頼朝でしかなかったのに対して、頼朝は、日本全国(この時に北海道があったかどうかは別にして)を視野に入れていた。ドラマの中でも、東北の藤原秀衡を気にしている発言があったとおりである。まさに、この視点の違いが、意識の違い、そして行動の違いになる。
アメリカの場合は、当然い「世界地図」や「地球儀」を元に物事を考えている。ロシアを視点にした場合、ウクライナに対するロシアと、日本や海を挟んだアメリカに対する備えということで全く異なることがみえてくる。アメリカが何故ウクライナに積極的に出ないのかといえば、当然に、ロシアがウクライナを占領したとしてもアメリカとの間にはまだドイツもフランスもイギリスもあるのだ。これに対して、極東では日本が突破されてしまえば、当然に、アメリカは直接対峙しなければならない。それも、ロシアと中国二つの国が一時に敵になるのである。このように考えれば、アメリカはなるべく極東に、つまりアメリカの直接的な防衛に力を注ぐことは明白であろう。これはウクライナやヨーロッパの「極地地図」しか見ていない人々にはわからないが、地球儀や世界地図で見ていれば、すぐに気づくところだ。
当然に、日本は、アメリカの援助を期待できるが、逆にイギリスやフランス・ドイツなどの援助はウクライナほど期待できない。これも同じ理由からである。イギリスからすれば、日本のことなどは「極東の離れ小島」のことでしかなく、日本が突破されても、間にアメリカという防波堤があるということになる。
さて、そのアメリカは当然に中国に対しても問題がみえてくる。というよりはロシアがウクライナに注力している間、当然に中国は力を蓄えているということになるんであるから、その力の出る場所がどこかということになる。尖閣諸島沖には領海侵犯をしてくるであろうし、台湾も危ない状況になる。フィリピンは新たな政権ができたところであるから、底との交渉の阿東になろう。
そのように考えれば、アメリカが台湾に対して「注力」するということは至極当然であり、ある意味でロシアを刺激せず、太平洋の守りを固めるということになろう。それが、まさに、上記の記事になる。
中国はすぐに反発したが、ロシアは、アメリカの国務省が台湾に関する表記を変えてもまったく意に介さない。その余裕がないともいえるし、また、ロシアからすれば、現在は戦争中なのでさすがに世界地図で考えることができなくなってしまっている。また、プーチン大統領が政府幹部を更迭し新たな人事を行った、その新たな長官の能力を見るためにもこのようにしたのであろう。
まさにこのようにして「観測」することが重要なのであるが、日本はそこまでできていないのである。もう少し、日本政府は情報に関する内容をしっかりと整えるべきではないか。