エリザベートコンクール 2022 セミファイナル 2日目 第2部 リサイタル
《Anouchka Hack (Allemagne, °1996)》
NADIA BOULANGER 3 Pièces
JOHANNES BRAHMS Sonate n. 2 en fa majeur op. 99
DAAN JANSSENS Wie aus der Ferne
GASPAR CASSADÓ Danse du diable vert
ドイツ人。すっきりとしたクセのない透明な音。ナディア・ブランジェ、何処かで見かけた名前だけど思い出せない。知らない曲だったけど、メリハリのあるいい曲だった。
そしてブラームスの2番。落ち着いて聞かせてくれる大人の演奏。
この1楽章はなんかよくわからない曲なのだけど、なるほどそういう感じなのかと少し理解が進んだ気がした。2楽章は思ったより速いテンポで始まったが、流れを作る形になっていて、これくらいもいいように感じる。
けして派手ではない、感情に走らない、でもああブラームスだなという上質の時間を作ってくれる演奏だと思う。ピアノ(Victor Santiago Asuncion)もいい。
新曲も落ち着いた感じに仕上がっていたように感じる。
そして、最後はカサドの歌あり踊りあり(?)の緑の悪魔の踊りで締め括る。鮮やか。
《Min Ji Kim(Corée, °1995)》
DAAN JANSSENS Wie aus der Ferne
ROBERT SCHUMANN Adagio et Allegro op. 70
BENJAMIN BRITTEN Sonate en ut majeur op. 65
ANTONIO BAZZINI La ronde des lutins op. 25
髪の毛が個性的。プロフィールの写真もそうだから、染めたあと時間が経っているのではなく、下だけ染めたのでしょう。
細長い体を使って出る乾いた力強い音。
新曲からスタート。さっきのHackさんとは別の曲のように聞こえるし、見える。弾き方が全然違う。韓国人のテンションと、やはりおもってしまう。
クレッシェンドの幅がすごい。特に弓のアップのパワーがすごいと思う。
シューマンはプログラムの中で唯一現代曲でないもの。
アダージオの歌いっぷりで彼女が情熱的であることがよくわかる。ただ、その情熱の色が、普通の人は赤だったら彼女は青く燃えるというか、音があくまでも乾いてクールな感じがする。
そのあり方がオリジナルでいいなあと思います。好きです。
ブリテンは彼女にすごく合っているように思う。ブリテンのソナタがあることは知っているけどほとんど聞いたことがないので、他の人とどう違うかはわからないけど。
ブリテンが彼女のために作曲しましたと言われればそうかなと思ってしまうかも。
リサイタルは暗譜じゃなくていいのですね。いいと思います。暗譜ってあまり意味ないので、演奏しやすい方を選べばよいと思います。
最後の曲はBAZZINI のLa ronde des lutins。これも知らない曲です。
フィナーレとしてはアンコール曲のようで悪くないのだけど、ブリテンの最後の楽章と技法が似通っていて、プログラム構成の点では、ちょっと違う曲の方がよかったように感じました。
そう、彼女はセミファイナルまで来た変わり者ということになるかなあ。
この個性のまま、ファイナルにもいってほしい。その前にハイドンのコンチェルトをどう弾くのだろう。すごく興味ある。金曜日ですね。
このセミファイナルはコンチェルトとリサイタルは同じ2人が演奏するのですね。つまり、コンチェルトの時もこのMinJi KimSanさんはドイツのHackさんの後。
楽しみです。