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「Andersen Märchen」Janusz Grabianski

2017.12.26 11:18

アンデルセンのお話はグリム童話と並んで、恐らく一番多く出版されている絵本のうちのひとつではないでしょうか。

今までに数多くの絵本作家/イラストレーターが、アンデルセンのお話に挿絵を描き、幾つもの傑作を生み出していますが、このポーランド出身の絵本作家、ヤーヌシ・グラビアンスキーによる絵本「Andersen Märchen(アンデルセン童話集)」もその傑作のひとつに数えられるべきものだと思います。

アンデルセンのお話は、例えばグリム童話と比べると、古い物語の感触も残しつつもより洗練された印象の作品が多いと思いますが、このグラビアンスキーの挿絵はそうしたアンデルセンのお話の特徴と調和し、この古いメルヘンを現代的な美的感覚の上で捉え直しているように感じます。

流れるような筆の運び、春の、一番多くの花が咲く季節の花畑のような、そんな色彩感覚、印象派や(ドガを思わせるような部分もありますね)、この作家が活躍した同時代の美術、抽象表現主義などの影響も感じさせる画風は、現代の眼から見ても今なお古びず、新鮮に感じられます。

またこの本は300ページを超えるボリュームで、アンデルセンの代表的な童話が、写真に上げたおやゆび姫をはじめ、裸の王様、人魚姫、しっかり者のスズの兵隊、ナイチンゲール、など30篇が収められています。

グラビアンスキーの作品が好きな方、アンデルセンが好きな方、また少し作風が似ているチェコのミルコ・ハナークなどが好きな方にもお薦めです。

当店のグラビアンスキーの本はこちらです。