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いわぶち動物病院

腫瘍

2022.05.19 10:18

腫瘍、つまりガンのことですが、ひとくくりにガンと言っても色々な物があります。


転移しないが大きくはなる良性腫瘍。

これは、昔は放っておくと、悪性腫瘍に変化すると言われていましたが、そんなことはまず無いということがわかっています。


良性と悪性の中間タイプの腫瘍。

これは名前で言えば、皮脂腺上皮種や肥満細胞腫、というものがありますが、あくまで良性のこれらのガンだったり、酷い悪性だったりと、区別をつけるのが難しもの。

同じ名前がつけられていますが、全く問題ない、良性のガンと同じものと、とんでもない悪性の物が存在しているタイプです。


名前だけ違うだけで、良性から、ど悪性のものまであると思って下さい。


次は悪性なのに、転移しないもの。

主にワンちゃんの乳腺ガンに多いです。

悪性の乳腺ガンのうち、4分の1は何故か悪性なのに転移しないと言われています。


もちろん、乳腺ガンにも良性のものと、ど悪性のものがあります。

特にワンちゃんの悪性乳腺ガンの中には、炎症性乳腺ガンという、絶対に治らない上に、手術をすると余計に酷くなるというとんでもない悪性腫瘍もあります。


ちなみに猫ちゃんの乳腺ガンは99%転移も再発もし得る、怖いガンです。


最後に、完全に悪性腫瘍とくくられているもの。

これは非常に沢山あるため、ここでは紹介しきれません。


血液のガンであるリンパ腫や白血病は抗がん剤で寛解するか、治らないかです。

ここで寛解と書いたのは、大体治ったように見える状態を言います。

残念ながら、ワンちゃん、猫ちゃんの場合、人でやる滅菌室での完全な抗がん剤使用と異なり、どうしても免疫力を完全に消した状態まで持っていく抗がん剤の使用の仕方ができないため、後々は絶対に再発します。


あとは見た目は良性のガンに見える、血管上皮種というものがあります。

これは簡単に取りきれるように見えるのですが、何度取っても、必ずと言っていい程再発を繰り返す、特に嫌なガンです。

主にワンちゃんで認められます。


この様に、語り尽くせない、色々なガンが存在しています。


基本的には外科手術でしか対応できないものであり、中にはお腹の中で破裂したはずなのに、ガンを切除したら、転移もせずに元気になった子もいますが、どう見ても取り切ったと思えたガンでも、上記の様に、再発してしまった、という経験もあります。


様々な腫瘍がある中、良性で、うまく取りきれて、元気になってくれる子がいると、とても安心できます。