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いわぶち動物病院

免疫介在性溶血性貧血(IMHA)

2022.05.20 07:07

現在では自己免疫性溶血性貧血(AIHA)と言われることが多い、自分の免疫が自分の赤血球を攻撃し、あっという間に酷い貧血になる、難治性の貧血です。ほとんどが、ワンちゃんのかかる病気です。


病気の全長としてわかりやすいのは、膀胱炎の様に頻尿では無いのに、強いオレンジ色を呈す尿が出ることです。


絶対では無いですが、貧血で呼吸が荒くなる前に発見することができる、貴重な特徴です。


病気の内容としては、自分の体が、自分の赤血球を自分のものではないと勘違いして、一気に赤血球を破壊しだすため、発見が早ければ早いほど、助かる確率は上がります。


治療は、免疫を抑制するほどの大量のステロイドを使用する所から始まり、できれば同時に免疫抑制剤を使用し始めます。

ただし、免疫抑制剤は効果が出るまでに二周間はかかると言われており、治ったあとの維持に用いられることがほとんどです。


先ほど難治性と書いたように、免疫を抑制させて赤血球を壊させなくさせるのと、赤血球を壊し続けて貧血で死んでしまうのとのチキンレースと言っていいほどに、凄まじい速さで貧血が進む病気です。


時には輸血が必要になることもありますが、その場合、輸血ができる病院を探す必要があります。

輸血のドナーになれる、若い大型犬を飼っている病院や、その様なワンちゃんの飼い主達と契約している病院もあります。


また、溶血を止めるために人の免疫グロブリン製剤を使用することもあります。

ワンちゃんの中に、人の免疫グロブリンを入れると、抗体が赤血球の周りに貼り付き、自分の免疫から赤血球を守ってくれる、という現象が起こります。

100%の効果が見込めるわけではありませんが、効果が出てくれることが多いです。


こうして赤血球を守っているうちに、免疫を抑制して溶血性貧血を止めることができます。


ただ、これにも弱点があり、まず人の免疫グロブリンを入れることで副作用が起こることがあること。

また、一度使用すると、この人の免疫グロブリンに対して自分の交代ができてしまうため、2回め以降に使用する時は、副作用の可能性が更に増えることです。


何はともあれ、早期発見、早期治療がポイントな病気です。


もし、強いオレンジ色が認められる尿が出た場合は、ワンちゃんが元気でも、急いで病院に連れて行きましょう。