『W旦那+(プラス)』第104話 三代目妄想劇場
同じ日の昼下がり。
昨日の事もあり、隆二は臣にもう少し休んでいた方がいいと止めたが、
臣は体が鈍るからと言い、
二人してトレーニングジムにやって来た。
いつものペースでトレーニングをする隆二。
同じフロアにいる臣を見ると、いつもより精力的にプログラムをこなしている。
悪魔との接触でダメージを受け、
臥せっていたのが嘘のようだ。
大量の汗をかき、ロッカールームにやって来た臣に、タオルを手渡して隆二が言った。
「臣、あまり無理すんなよ」
「ん?ああ、大丈夫だよ」
臣は汗で濡れたTシャツを脱いで、上半身裸になった。
鍛え上げた胸筋の上を、玉のような汗が流れている。
タオルで汗を拭く臣を見て、隆二は顔を赤らめ、ふと目を背けた。
(なんだろ?直視できない…臣ってこんなに色気あったっけ?)
隆二は顎に手を添えて困った顔をしている。
臣「昨日SWAYを見送った後、俺眠ってしまったけど…がんちゃん達普通にしてた?」
隆二「うん。理愛ちゃんが寒気がするって早く休んで、がんちゃんはしばらくリビングに居たけど、夜に帰っていったよ」
臣「そう…」
臣がガシガシと強めに、汗で濡れた髪を拭いている。
隆二「昨日…理愛ちゃん達まだマンションに着いてなかったのに、どうしてあのオバケだけ家に居たんだろね?」
臣「わかんねー…いつも一緒に行動するとは限らないんじゃねーの?」
臣の返事が軽く聞こえた。
軽い…
感情がこもってない様な…どうでもいい感じ…
臣「シャワー浴びてくるよ」
隆二「あっ!臣、待ってよ」
臣「ん?」
隆二は臣と向かい合わせに立ち、臣が首からかけたタオルをめくり、胸の中央辺りに手を触れた。
臣「なに?」
隆二「ん?…いや、あのオバケ確かに臣のここら辺を通り抜けたんだけど、特に傷もアザもないね」
臣「幽体みたいなもんじゃねーの?」
臣「目には見えるけど、物体はないって感じで…」
隆二「…そっか」
隆二「臣の体に傷が残らなくて…よかったよ」
ほっとした表情を浮かべ、隆二が言った。
すると臣は何も言わず、隆二の頭を強めにグイッと引き寄せ、いきなりキスをしてきた。
隆二(お…おみ⁉︎)
End