はとバスのニューデッカー(川重編)
はとバスが初めてスタンダード仕様のスケルトンタイプ車両を導入したのは1981年の秋でした。同年の春には特別仕様のスケルトン(並びにスケルトンタイプ)が既に導入されていましたが、今後の主流となるべく新型車両の登場はサプライズに満ちていました。以前にもご紹介しましたが、はとバスは夏に新車を導入するケースが多かったため、今回は秋の観光シーズン間近の9月下旬の導入であったこと、スタンダード仕様としては初めてTV・VTRが装備されていたこと、そして何よりも初めて見る新型ボディを架装していたことなどで注目を集めました。いすゞは既に側窓にカーブドガラスを採用したスケルトンタイプのハイデッカーIII型並びにIV型を市場に投入していたので、このタイミングで新型のスケルトンタイプの登場は意外に思われました。しかし、この新型ボディは従来のハイデッカーII型を改良したもので、来るスケルトンタイプが主流となる時代を見据えた「汎用型」ともいえるタイプで、大きな1枚ガラスのウィンドシールドと平面ながら大型化されていた側窓は他のメーカーのスケルトンタイプと比較しても遜色のない格好良さを備えていました。
はとバスは1981年に導入した3台を皮切りに、1984年まで継続的にこのハイデッカーII改型を導入しました。1983年までは貸切用車両は側面に大きな「Hato Bus」の赤い文字が入り定期観光用車両と外観の差別化を図るなど、はとバスの貸切部門の競争力の強化に貢献した車両でした。1984年からは定期観光用・貸切用共に「HATO BUS」の新しい字体で登場しましたが、この年のみフロントグリルを装着するなど、かなり印象が異なっていました。
1985年からは同じニューデッカーでも富士重工製ボディを架装した車両が導入されるようになりますが、この川重製ボディのニューデッカーは1977年に登場して一世を風靡したハイデッカーが進化した「はとバスらしさ」満載の車両でした。
写真解説
写真①
1981年秋に初導入された川重のハイデッカーII改型。春に導入された特別仕様車同様、側面に大きく「Hato Bus」の赤い文字が入り、大変目立つ存在でした。
写真②
1983年に増備されたハイデッカーII改型のニューデッカー。最初に導入された車両と比較すると、前扉付近のブラックアウトやマーカーランプの位置の変更などが確認できます。
写真③
1984年に導入されたニューデッカー。1976年以来の短尺車で、狭隘路線では大活躍しました。側面のHATO BUSの文字が一新され、フロントグリルも装着していたので、それまでのニューデッカーとは大分印象が異なります。