Ai Nikkor 50mm F1.8s
このレンズは、新品として流通していた頃は、凡庸なスペックの廉価なレンズであったが、現在では、いわゆるパンケーキレンズとして、中古市場で人気がある。
Ai ニッコール 50mm F1.8sの良い点を挙げると次のとおり。
・ 小型軽量、とにかく薄い。
・ 十分な大きさのピントリングと絞り環、取外し用の指掛かりがあるので、パンケーキレンズにしては操作性がよい。
・ 円筒状の端正なスタイル。どんなカメラにも似合う。
・ 絞り開放ではフレアがかった柔らかな描写を楽しみ、f2.8程度まで絞り込むとクリアかつ高解像度の表現を楽しめる。
・ 階調と色合いが自然。絞り開放でも色の不自然さがない。
・ 絞り開放近傍(f2 くらいまで)での撮影は、ピントに芯がありながらフレアが少し生じて程よい解像感になるので人物ポートレートによい。
このレンズにこれといった欠点はないが、若干気になる点は次のとおり。
・ ヘリコイドの前後長が短いためか、鏡筒がガタつく。ピントリングを回したときの遊びが大きい。
・ 絞り開放でフレアが少し生じた状態であるので、開放でピント合わせを行う際には、ややピントの山が掴みにくい。正確なマニュアルフォーカスに気を使う。ピントを外すことがある。
非常にコンパクトな作りであるため、操作性が少しだけ犠牲にはなっているが、それを大きく上回る利便性がある。
絞り値の設定により解像感をコントロールできるので面白い。
この軽くて明るいレンズは、光量が不足する場面への備えとして持っていくのにピッタリであり、標準ズームレンズとの相性は抜群である。
【スペック】
レンズ構成: 5群6枚(ガウスタイプ)
最小絞り: 22
最短撮影距離: 0.45m
フィルターサイズ: 52mm
最大径×全長: 63mm×27.5mm(全長36.5mm)
重量: 175g
フード: HR-4
希望小売価格(税別): ¥20000 ※1986.6.10時点
作例1 焦点距離50mm、絞りf2.8
作例2 焦点距離50mm、絞りf1.8
作例3 焦点距離50mm、絞りf8
※本記事の作例において、画面の一部、たとえば空などの部分に等間隔の縞模様が生じているが、これはJPEGファイルのデータサイズを小さくするため、圧縮率を上げていることが原因である。レンズやカメラの性能とは無関係である。