焼き魚の匂いが漂ってきて思い出したことがある
2015.04.16 12:23

おばあちゃんの家には数週間滞在した記憶がある。おばあちゃんの家はいつ行っても新鮮だった。群馬県伊勢崎市。どこか懐かしい街並みも好きだった。

料理の音が聞こえた。油がはねる音、コンロと鍋が擦れる音。お勝手から茶の間まで料理を運ぶ音が聞こえた。硝子が嵌め込まれた引き戸を開ける音、お箸がカチャカチャと鳴る音。僕の知らないところで大人たちが活動している。そこに参加したくなった。
だから早起きして一緒に朝ご飯を作った。ワクワクするから目覚めた瞬間に身体が動くのだ。「布団を出よう!」と強く思えた。毎日がこんな気持ちだったら最高だ。
おせち料理を作った思い出がある。白とピンクのかまぼこをスライスして交互に並べた。片方はおばあちゃんが、片方は僕が切った。すると僕が切ったかまぼこは若干潰れて身長が低くなり、交互に並べると凸凹になってしまった。
いろんな料理を作り、茶の間で待っているおじいちゃんに「これけんちゃんが切ったんだよ」と照れながら自慢した。(僕は自分のことをけんちゃんと呼んでいた)

ワクワクしながら目覚めて、優しい料理を味わって、失敗しながらも作り方も覚えて、わいわいとコミュニケーションもとれる。僕はやっぱり手作り料理が好きだ。
将来子供と住む家は美味しい匂いが漂う間取りにしよう。建築設計に関わっている方はぜひこういうことも意識してほしい。