AF Zoom Nikkor ED 28-200mm F3.5-5.6G(IF)
このレンズは絞り環の省略されたGタイプのレンズであり、2003年9月、フィルムカメラからデジタルカメラへと主流が変わっていく頃に発売された。
レンズの開発者によると、高倍率ズームとしては当時、世界最小最軽量を目指して開発したとのことである(ニッコール千夜一夜物語の第六十五夜)。
AF Zoom Nikkor ED 28-200mm F3.5-5.6G(IF)の良い点を挙げると次の通り。
・EDレンズと非球面レンズを多用しており、画面中心部において、抜けがよく高コントラスト、立体感と解像感のある写りを得られる。
・ 画像に自然な立体感を感じられる。
・ 手のひらの上で転がすことができる高密度、小型軽量設計。
・ 撮影は軽快そのものであり、シャッターチャンスに強く、スナップ撮影が楽しい。
・ 精度のよさ、精密さを感じさせる動作、表面仕上げ。
・ 逆付けできるフードによりコンパクトに収納できる。
若干の留意点があるとすれば次の通り。
・ 広角域では片ボケがみられる。(このレンズは生産難易度が高かったと開発者が述べている。非球面レンズを多用するなど技術的な限界に挑んだゆえの結果であると積極的に捉えたい。)
・ 画面周辺部は像の流れがみられる。(画面中心あたりを使う構図で軽快にスナップ撮影をしてると、さほど気にならない。)
・ 望遠域では糸巻き型の歪曲がみられる。(ニコンから補正データが公表されており、それを適用すれば自動的に補正できる。)
世界最小最軽量の高倍率常用ズームレンズを目指すという技術的挑戦にロマンを感じられるならば入手すべきレンズ。
片ボケがあり周辺画質は完璧ではないが、このレンズの尖ったコンセプトを楽しめるならば、気にならない。
画像中心部における画質は必要十分であり、持ち出し頻度は高めである。
望遠域の歪曲収差は大きいが、縦構図のポートレートではスリムに写るため、喜ばれるかもしれない。
【スペック】
レンズ構成: 11群12枚(EDレンズ3枚、非球面レンズ3枚)
最小絞り: 22
最短撮影距離: 0.44m(200mm時。焦点距離により変化する。)
フィルターサイズ: 62mm
最大径×全長: 69.5mm×71mm
重量: 360g
フード: HB-30(付属)
希望小売価格(税別): ¥62000 ※終売時点
メーカーのサイト
https://www.nikon-image.com/products/nikkor/fmount/af_zoom_nikkor_ed_28-200mm_f35-56g_if/
ニッコール千夜一夜物語 第六十五夜
https://www.nikon-image.com/enjoy/life/historynikkor/0065/index.html
作例1 焦点距離90mm、絞りf5.3(開放)、歪曲補正なし
作例2 焦点距離120mm、絞りf8、歪曲補正なし
作例3 焦点距離125mm、絞りf10、歪曲補正なし
作例4 焦点距離120mm、絞りf5.6、歪曲補正なし
作例5 焦点距離28mm、絞りf9、歪曲補正なし
※本記事の作例において、画面の一部、たとえば空などの部分に等間隔の縞模様が生じているが、これはJPEGファイルのデータサイズを小さくするため、圧縮率を上げていることが原因である。レンズやカメラの性能とは無関係である。