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踊れ。僕はそう言った。

2017.12.31 10:17

鏡を見つめると金とも茶ともつかない髪色をした僕がいた。中途半端なそいつに心の中で問いかける。今年一年、どうだったよ。


どうだったのだろう。

真っ黒でも灰色でもない、これまた中途半端な瞳の色のそいつは目線を外した。


春、迷いに迷って、

夏、進路を決めた。

秋、優しくあろうとして優しくなれなくて、

冬、僕はもう少し強くなりたいと願っている。


できることは増えた。それによって得たものも失ったものもあるけどそれは概して良いことなのだと思う。

まだまだできないことがたくさんあって、やりたいこともたくさんある。

なりたいものも、なくはない。


多分、と僕は鏡に向かって言った。

ずっと未来を見るより足下を確かめながら歩かないと駄目だ。一歩ずつ、だ。


今年読んだ本に出てきた「踊るように生きろ」というフレーズを思い出す。僕たちは「今この時」に強烈なスポットライトを当て踊るように生きるべきなのだ、とあった。


確かにな、と思う。踊ることもせずに遠くの方に焦点を当てて華麗に踊る夢を見るのは滑稽なだけだ。ただ、気持ちはわかる。何かに挑戦することで自分の可能性を潰してしまうのではないかという恐怖感はわかる。痛いほどに、わかる。



2017年の僕は"今この時"を踊れていたか?

もう一度鏡に映る中途半端な自分に問いかける。

目があった。睨まれた。それからゆっくりとそいつは首を傾げた。


踊れ。僕はそう言った。誰もいないトイレの片隅で、そう言った。そいつは少しだけ頷いた。


予鈴がなる。学科教習があと5分で始まるようだ。僕は運転免許の合宿に来ている。孤独という飴を舐めながら喉をカラカラに枯らしてハンドルを握ったりしていた。居心地はでも、悪くはない。


踊るのだ。

今度は自分に言い聞かせるようにしてトイレを出た。

窓の外を見る。真っ白。雪が降っていた。

2017年に白く積もった雪は、これからどうなっていくのだろう。どうなってしまうのだろう。いやどうしていくかは自分次第、か。


僕は欠伸を噛み殺してそんなことを考えた。