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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

ロマン派の時代33-ヴェルディと革命

2022.05.30 11:27

革命が起こったときヴェルディはパリに居て、「志願兵になりたかった」と呟いたが、慌ただしくパリに戻った後革命は敗北した。ヴェルディは「哀れな祖国」を嘆いた。しかし南ではまだ革命の炎は燃え尽きていない。ローマでは教皇国家首相が殺害され、教皇ピウス9世はローマを脱出した。

代わって1849年2月9日にできたのがローマ共和国である。1月27日ヴェルディの愛国オペラ「レニャーノの戦い」がローマで初演され、観客は「イタリア万歳」と叫んだ。このオペラは、12世紀赤ひげ皇帝フリードリヒ1世がイタリア征服で侵攻したとき、イタリア諸邦が団結して戦ったのを描いた作品である。

しかし新たに仏大統領となったルイ・ナポレオンは、カトリック票目当てにローマに進軍する。このとき対峙したのが、後のイタリアの英雄ガリヴァルディで、ローマ大学の戦いに勝利、しかし結局敗北して、ローマ共和国は崩壊し、ガリヴァルディらは各地でゲリラ戦を続けることになる。

ヴェルディは田舎に退いたが、最初の妻が亡くなってソプラノ歌手ジュゼッピーナと同棲していたので白い目で見られるようになった。ヴェルディの見た人間の裏と表は、その後の作品に反映され、シェークスピアを研究して、オペラにしようと思うようになった。