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“The Snow Goose”

2015.12.31 15:00

その魅力に気付くのに時間を要する音楽がある。

ポール・ギャリコ原作の物語に基づく

Camelの代表作"The Snow Goose"は、

十数年聴いてはいながら

正直、ピンと来ないままであった。

いわゆる「美メロリスナー」的な観点からは

このアルバムはフックのあるメロディが少なく

(じんわりと穏やかで美しい旋律が多い)

BGM的に流れてしまうと思っていた。

その一枚が、とある秋の日、急に響いてきた。

目の前でスノーグースが飛ぶ姿が浮かんできた。

理由は今でも分からない。 


折角なので、所有しておきながら

読んでなかった原作を読んでみた。

・・・戦火の中、身体に不自由のある主人公ラヤダーが

傷を負った人々を助けにヨットを漕ぎ出す場面が印象に残った。 


「ぼくの力でできることなんだよ。 

 今度ばかりは、ぼくだって人並みに

 自分の役目を果たすことができる」 


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自分が思い描いたような人生を歩める人は

一体どれだけいるだろうか?

思いもよらない出来事や、期待とは正反対の航路に

遭遇することは珍しくはないのだろう。

そんな中、たとえ望んではいなくとも、

「自分が必要とされる」場所があるならば、

それを「自分の役目」として位置づけることは

決して間違っていないと思うようにもなった。


私事だが、2015年は怒濤の日々だった。 

思いもよらない業務体制となる中、

ただ生きていることに大きな苦労を伴わざる

得ない人が沢山いること、そして、

その為に必要な人・モノ・仕組み等が

まだまだ足りていないことを痛感する日々だった。


少し雑な言い方をすると、

私が音楽を止めても困る人はいないが

私が仕事を辞めたら困る人がいる。

また違う言い方をすると、

世の中には音楽をする人は溢れかえっているが、

相談援助業務をする人は足りていない。

「私がこの世界にいる意味って何?」という、

中二病まっしぐら(笑)な命題を

果てしない激務に追われながら

問い続けた一年だった。 


(2016年1/1記)