Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

超人ザオタル(70)神の力

2022.05.31 01:34

「神というか、ええ、彼はただの少年のようでしたが。

イサトが神だとは…、何とも言えません。

ところで、神とはどんな姿をしているのでしょう。

それが分からなければ、誰が神なのか見当もつきません」


私は困惑してそう言った。

「他にも誰かに会われたのですな、ザオタル殿。

うむ、神は輝く人間の姿をしているといわれていますが、

その実体は誰も知りません。


ただ、とても不思議な、その奇跡的を起こす力を持っていると。

それはあらゆる苦難から解放してくれる力とでもいいましょうか。

永遠なる至福の光を授けてくれもします。

そして、その光を授かった者は神の代理として世界で働くことになる。


つまり神と同じ超人的な力で人々から苦難を取り去り、

至福の光を与えるのです」

アジタは宙に目をやり、少し悦に入ったように話した。

「確かに、草原で他の人にも会いましたが、


そのような奇跡を起こす人ではなかったですね。

多分、私はそういった神には会っていないかと、そう思いますよ」

「そうですか。

もしやあなたが神の代理人になったのではと思いまして。


私の早合点で、失礼な話をしてしまいました」

アジタは少し残念そうに笑った。

「いやいや、私こそ期待に応えられるような話もなくて」

私は幾分申し訳無さそうに言った。


「とんでもない、同じ草原帰りの方にお会いできてよかった。

私はね、そこで神には会えませんでしたが、

それでも自分が変わった気がするのです、ザオタル殿

多分、草原の不思議なエネルギーに触れたせいでしょう。


なんというか、見えない神に強く守られている感じがするのですよ。

それで、物事に動じなくなって、落ち着いた心でいられる。

慈悲深くなったとさえ感じますよ。

自分がまったく変わってしまったと。


草原では誰にも会えませんでしたがね、

あそこの風や光、澄んだ空、草の香り、

そういったものに神が宿っている。

それに触れた私は確かに神に触れたのだと、


私はそう感じているのです。

この思いを人々にどう伝えたらいいのか。

そこに行かなければ分からないこともあるのでね。

どうやってこの素晴らしい経験を言葉にできるか。


結局は草原帰りの人間同士でないと、

分かり合えないことなのかもしれない。

ザオタル殿であれば、きっとこの気ちを分かっていただけるかと」

アジタは何かを求めるような目で私を見た。