会員コラム23
この2年間、コロナの感染拡大により春・秋ともに展示会の開催を見送ってきましたが
2 年ぶりのこの春、ようやく開催にこぎつける事が出来ました。
一週間という短い期間ではありましたが、
無事終了することが出来ました。ご来場いただいたみなさまに改めてお礼を申し上げます。
また会員のみなさまも、こういう展示会という機会でなければ
一同に会することも出来ませんが、そのような中ご協力頂きましたこと、
心から感謝いたします。
今後、このコロナウイルスとは共存していく世の中になっていくのだろうと思っていますが、
工夫を凝らしながら今後も楽しい会の運営を心がけて行きたいと願っています。
今回は会場にご来場いただいた方から、6名の新規会員さんが入会されました。更に賑やかになることと期待しています!
さて今回のコラムは大切な仙友、故・岩田馨氏を偲んで書かせて頂きます。
5月18日水曜日 京都シャボテンクラブの岩田馨氏が68歳という若さで永眠されました。
亡くなる一か月前に一緒に撮った最後の写真
旧会長である土門誠とは長年の仙友であり、また土門が他界したあとも、クラブ同様、
公私共々大変お世話になった方です。土門が亡くなった時、一番最初に連絡をしたのが岩田氏でした。
電話口で号泣されていたのを今でも思い出しますが、今回はそれが逆になってしまいました。
岩田氏はとにかく刺ものが大好きなお方でした。みなさんもご存じのように
「とげもんのへや」というHPを運営されていました。毎日のように更新し
「閑古鳥が鳴いてるーバキッ!」と訪問者が少ない時にも、あの独特の言い回しで、
読者を魅了していました。しかしブログの内容は、実に多くの経験と実践に基づいて、
栽培のヒントや接ぎ木の実践方法など詳しく書かれていて、
大変参考になるHPを運営されていました。そのような貴重なお方が亡くなるというのは
この仙界にとって、大きな宝を失ってしまったのではないでしょうか。
岩田氏からの里子 Ferocactus 金冠竜
わたしにとって岩田氏との一番の思い出は、何と言っても3年前の2019年4月、
サボテン自生地、アメリカ旅行に一緒に出掛けたことです。多くのデータをかき集め、
旅行日程を立てて下さったのも岩田氏でした。
また彼は長年書店に勤務していたこともあり、非常に豊な文才家でもありました。
帰国後38ページにも及ぶ旅行記の制作も手掛けて下さいました。
この感動を我々だけのものにしておくのは、もったいない?という自己満足と
その熱望に応えてくださり、昨年、京都シャボテンクラブの会報「とげ No90」に
簡略ではありますが、11ページという場所をさいて掲載して頂き、
我々の悲願?が叶って日の目を浴びることとなりました。
大阪から札幌という距離はありましたが、度々来道されては会のメンバーと交流を持ち、
楽しい宴を開いたものでした。岩田氏といえば、なにはなくともビールビール。
そしてタバコとお刺身。北海道で海鮮を食べることを本当に楽しみにされていて、
陽気なお方で、どの場にいても笑い声の絶えないお方でした。
左から 故土門誠・埼玉サボテンクラブ長谷川武氏(現会長)・故岩田馨氏
そんな岩田氏に癌が見つかったのはわずか2か月前。突然電話があり
「伝えておかなあかんことがある」と。
それから2か月という短い闘病生活の末、多くのサボテンたちをこの世に残したまま
天に召されました。亡くなる一か月前にも種まきをしていましたので、
最後までサボテン栽培家としての生き方を全うされたのではないかと思います。
天の御国での再会を楽しみに、これからのわたしの生き方も
見守っていて欲しいと思っています。
最後に頂いた、実生のferocactus Johnstonianus
ただあの青い空、乾いた空気、褐色の大地だけがぼんやりとした頭全体を
残像となって支配していた。あれは夢だったのか?それとも現実だったのか?
何年か後、ふと青い空を見上げた時あの荒野に生きる
孤高のサボテン達を思い出すに違いない。
白雲流れる悠久のかなた。永遠と瞬間がとけあい。
悪魔と神がたわむれるところ。砂漠。。。。
そこに生きる孤高なる植物。汝、シャボテンよ。
岩田 馨(著・龍胆寺雄シャボテン幻想より一部引用)
土門 市子