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ZIPANG TOKIO 2020「国境の街 対馬の生活に溶けこんだ祭の原風景(特別編) 西 護」

2018.01.03 07:55


国境の街「対馬」の一般社団法人 対馬観光物産協会 西局長から今年最初の寄稿文が届いておりますので紹介いたします。

その前に編集室からひと言!

日本の中で、1月20日までを正月とする所もあるそうですが最近では、正月3が日という言葉が定着し、よく耳にいたします。それでは正月3が日にやってはいけない6つのタブーがあることをご存知でしょうか?

1、掃除をしてはいけない
2、刃物を使ってはいけない
3、火を使う煮焚きをしてはいけない
4、四足(よつあし)歩行の動物の肉を食べてはいけない
5、お金を使ってはいけない
 6、ケンカをしてはならない

今日は3日目になりますが、皆様は如何お過ごしでしたでしょうか?守れそうで守れない6か条ですね。それぞれにためになる理由があるようです。調べてみてください。

それでは、さっそく箱根駅伝の復路なみに西局長にタスキを渡します。

鎹八咫烏 記


新年あけましておめでとうございます.。
昨年同様に国境の街「対馬」をよろしくお願いいたします。
これまでのシリーズの続きは今年の第二報からにして、

今号は特別編として、

昨年末、2017/12/26(火)、対馬市厳原町(いづはらまち)の西海岸・阿連(あれ)地区で毎年(旧暦11/9に)開催される阿連(いづはらまち・あれ)に伝わる伝統神事「お日照様」「オヒデリ様の元山送り」に今年は、新人研修も兼ねて参加してきましたのでその様子を報告いたしましょう。

民俗学的にも貴重ということで、これまでも地元マスコミや九州大学の学生さんなども参加していました。

雷命神社社殿前のイチョウの大木が折れています。(その数年前には、カヤの大木も折れました)

祭神「雷命」は、亀卜(きぼく。古代の占い)の神様なのですが、竜神・水神・雷神ともされており、竜巻や落雷で巨木も折られてしまうとか。 
というよりも、竜神の棲む場所だからこそ祭り、社殿を造ったのかもしれませんね。

雷命神社でお祓いを受けた子どもたちは先にダッシュ。

ホラ貝・鐘・太鼓を先頭に・・・

雷命神社でお祓いを受けた後、背中に御幣を刺してもらい、地元の方々と一緒に川を遡ります。
我々がお神輿(みこし)となって、オヒデリ様を山にお運びするのです。
子どもたちには特別な役割があり、先に猛ダッシュ。


「お日照様」神事のまとめ

・阿連には式内社(平安時代に公に祭られた格の高い神社)の「雷命神社」があり、祭神は「雷命」(いかづちのみこと)。
・雷命は、日本のほかの神々同様、旧暦の10月に出雲大社に旅立つため、阿連は一ヶ月間神様不在になる。(日本中から神々がいなくなるので「神無月」)
・雷命のいない間、ふだんは山にいる「お日照様」に里に降りてもらい、村を守ってもらう。
・雷命が阿連に帰ると、お日照様は旧11/1~11/8の間、一緒に暮らす。
・旧11/9に、お日照様を元の山にお返しする「お日照様の元山(本山)送り」の神事が行われる。この時、お日照は懐妊していると考えられている。
・雷命は竜神・水神・男神で、お日照様は太陽神・女神。この一連の神事は、雨と太陽がバランスよく結びつき、里に豊穣がもたらされる、という古い民俗世界を体現している。

ひたすら歩く「いざや、いざや、とのばらを、もとのお山にお送り申ーす!」「おー!」の掛け声

どんどんと進みます。

どんどん遡っていきます。地面や周囲の景色も変わってきます。

ここで、先回りしていた子どもたちが動物(シカ)に扮して、大声で大人を脅かします。
大人たちは、びっくりするのがお約束。「わーっ!!」(子どもたち)
「うおっ!!」(←事前に説明していたのに、不意をつかれて本当にびっくりした参加者)

ここから先はオヒデリ様の神聖な領域。靴を脱いで歩きます。参加者から悲鳴!

無事、オヒデリ様の祠へ到着。

川の途中にある、オヒデリ様の祠に到着。

太陽の女神オヒデリ様は無事、山の祠に戻り、水神・龍神・男神である雷命(いかづちのみこと)の子神を出産します。
対をなす太陽と水(雨)、女と男が和合し、阿連の里に調和と豊穣、平穏をもたらすのです。

御幣を納め、ロウソクに火を灯し、子どもたちからお年寄りまで一緒に祈りを捧げます。
太陽(オヒデリ様)と雨(雷命)が調和し、里に平安と豊穣がもたらされるのです。
ちなみに雷命は、日本中の神様が出雲大社に集まる縁結び会議の帰りなので、神事に参加すればよいご縁に恵まれるかもしれません。
(家庭も職場も人生も、すべては人の縁の上に築かれていくので)

帰りも当然、裸足です。 「イタィィィィ!!」(参加者女性陣)
「あら?裸足? 靴下はいててよかったのに」(地元の方)
(早く、言えェェェェェ!!) (誰かの心の声)
写真で確認すると、地元の方は靴下をはいています。

ちなみに漢字で書くと、「御日照」様。
優しい日光の恵みの和の側面と、時には旱魃(かんばつ)をもたらす荒ぶる魂を感じさせます。

ブリとそば粉をいただきました。 

集落では、対馬の郷土料理「ろくべえ」の材料となる「せん」が作られていました。
サツマイモを砕いて発酵させ、でんぷんを取り出すのですが、とても手間がかかります。

冬に備え、大根が干されています。

同じくサツマイモの切り干し。
食物繊維も豊富で、囲炉裏やストーブであぶると、やさしい甘みがあって滋味たっぷり。

オヒデリ様を紹介するにあたり、「秘祭」「奇祭」という冠も考えたのですが、むしろこちらが本来の祭りの姿のような気がします。

阿連(あれ)という集落は、「対馬の半農半漁の暮らしの原風景」であり、神事もごく当たり前のように生活に溶けこんでいるんだなあ、とあらためて感じました。

夜になっても、足の裏がホカホカしています。足の裏は第2の心臓とも言われ、たまには裸足で歩くのもよいのかも。

来年参加したいと思った方は、ぜひ裸足で!!(殴)

続く・・・


寄稿文 西 護

一般社団法人 対馬観光物産協会 局長


協力

一般社団法人 対馬観光物産協会
〒817-0021 長崎県対馬市厳原町今屋敷672番地1 観光情報館ふれあい処つしま
TEL 0920-52-1566 / FAX 0920-52-1585  営業時間 8:45-17:30 休業日12/29~1/3