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じゅて~む

じゅて~む エッセイ編 第84夜「イタリアンダイエット②」

2021.07.31 16:10












【あらすじ】



N県新潟市やN県長野市でコント活動をする集団の、コント台本を担当している江尻晴子が、架空の男性・達太としてエッセイ連載にチャレンジ。



そして、達太の外見は、39歳にして高木ブー氏にそっくりであった・・・。



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ボーノ!



俺は達太。



イタリアに滞在中だ。



なぜって、もちろんダイエットのためだ。



俺は恰幅が、抜群にいい。



腹など特に、最高に盛り上がっている。



俺は、俺に満足している。



だが。



イタリア女と恋に落ちるには、腹を育てることよりも、額を上げていくことが重要だ。





そこで、ダイエットだ。



額を上げるのはそれからだ。





ピザはペラペラ。



俺は自然と痩せ細るだろう。



貧相にならないよう、注意が必要かもしれない。





だが、この考えは間違いだった。



イタリアに来て7日が経った。



ピザは案外、腹に溜まるとわかった。




ピザには具が乗っており、その具にしっかりとした味が付いているため、おかずおかずしているのだ。



ペラペラのおかず。



俺はピザにご飯を合わせて食べる方法を選んだ。



白米をどう調達するか?





俺は、キャリーバックからサトウのご飯を取り出す。



みんなも知っているかもしれないが、チンすると炊きあがる便利な米だ。



2パックで一人前だ。





俺のキャリーバックの中で、一番場所をとっている。



減らした方がいい。



お土産が入るスペースを作るんだ。





俺は2パックのサトウのご飯を手に、レンジに向かう。





さて。



ここまで話を進めておいておきながら、告白しよう。



俺はホテルの部屋で、ピザをデリバリーして食べているわけではない。





せっかくのイタリア。



豚バラの形をした国。





もちろん、レストランでピザを注文。




厨房はどこだ?



俺はキャリーバックをガラガラ引きずりながら、レストラン内を練り歩く。





俺は、何日かの滞在で、レストランでのサトウのご飯のお願いの仕方を、完全にマスターした。





まず厨房に、顔を出す。



コック達は、たいてい、驚く。



俺は、ツーリストの陽気さを演出するために、顔だけ、どよんと見せるのだ。



グロいおもちゃか?と、顔の奇麗なイタリア人達は思うかもしれないね。



そして、よくよく見ると同じ人類じゃないか、とコック達が気付いたタイミングで、



「エクスキューズ、ミ。」



俺は、サトウのご飯を顔の真横に並べる。2パックなので頬の両脇に。



アジア人のキュートさを演出するためだ。



達太のぶりっこ?



言いたい奴には言わせておけばいい。



可愛いは正義だ。





コック達が、ざわついているのがわかる。



言葉を超えて、わかる。





俺はもう一度、



「エクスキューズ、ミ。」



言いながら、俺の自慢の腹を、見せる。



自ずと、俺の全身が登場する。





厨房の入り口をふさぎながら、俺は、片言のイタリア語で、



・持ち込みはオーケーか。



・電子レンジはあるか。



・ピザをおかずにしたい。



・チップは弾む。





「頼む。そうしないと、1枚まるまるピザを食べると、飽きてくるんだ。」



「今度、ピザの上に、唐揚げとハンバーグを乗せてみるのはどうだ?」



調子がいいときは、こんな本気ジョークも放つ。





俺は、何日かの滞在で、ホテル周辺のレストランで噂となった。



「達太?」



と聞かれ、厨房に一番近い席に案内されることもあった。



俺がピザを注文すると、ライスが出てくる場合もあった。



俺はチップを弾む。





だが、全然痩せ細らない。



俺は焦る。



腹を凹ませるのは後回しにして、額を上げ、イタリア美女のナンパを始めるか・・・。





夜、バスルーム。



俺は、額に生えている髪を、引きちぎろうとしていた・・・。



生え際を、後退させるんだ。





イタリアに行くことなんて、もう無いかもしれないから、思いっきり楽しまなくっちゃ!



成田で、新婚旅行と思しき男女の、女の方が言った言葉が、俺の頭の中でリフレインを巻き起こしていた・・・。





じゅて~む