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じゅて~む

じゅて~む エッセイ編 第82夜「シンデレラボーイ⑥」

2021.07.04 01:37




【あらすじ】



N県新潟市やN県長野市でコント活動をする集団の、コント台本を担当している江尻晴子が、架空の男性・達太としてエッセイ連載にチャレンジ。



そして、達太の外見は、39歳にして高木ブー氏と、ほんじゃまか石塚氏を足して2で割ったようであった・・・。



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まずは自己紹介から。



俺は達太、39歳。会社員。





だが。今はシンデレラとして生きている。先週からだ。



王子にとってそれがベストかと思ったからだ。理由は無い。直感ですら無い。





自己分析すると、お城の朝食ブッフェならびに、お城の日常的なご馳走に興味があったからだ。




今俺は、王子と共に朝食会場へ向かっている。



「んま」やら「まあ!」やら「うふふ」などの女言葉を使いこなしながら。





「達太!ちゃんと聞いているのか!



 朝食を共にすることは許す!



 食べたらすぐにシンデレラを探すんだ、わかったな!」





「まあ!」





「まあじゃないよ!



 昨夜から何度も言っている、驚くのは間違いだ!」





本当によく喋る王子だが、言っていることは正しい。





だが。俺にはどうでもいい。



俺はお城の食事を楽しみたいだけだ。



カツ丼が恋しいのは確か。



生姜焼き定食と味噌ラーメンも、恋しい。愛しい。



麻婆麺も愛しい。



今となってはアジフライすら愛しい。





懐かしい。





俺は朝食の席に着座する。



スカートに皺が付かないように。



1泊2日の女装生活だが、もう心得てきている。



俺は自分の順応力にハッとする。




そんな俺に、いや、俺を?見て声を発する人物が、そこには居た。





「王子。



 その女装をした男は誰だ。」





俺は驚く。



王子ですら「お前は女か?女装をした男か?」と初対面では俺に質問した。



ところがどうだ、この男は、俺を達太と見破り、女装していることも見破った。





「はい、父上。



 達太にございます。」





「達太?」





「はい、おはようございます。」





「あ、おはよう。



 すまんが達太、君ではなく王子に聞いたんだ。達太とはなんだ?」





俺に「達太?」と話しかけてくれたわけではなかったようだ。





俺の脇で、王子が昨夜のシンデレラとのダンスから、今朝に至るまでを順を追って説明している。





俺は気付く。



この、俺の女装を瞬時に見破るこの男は、おそらく王様。





俺の女装を見破る聡明さ。



そして王子が「父上」と呼ぶ、格上の様子!!





俺は、そろそろシンデレラのフリも、シンデレラの世界とも別れなければならないな。



このまま俺がお城にいては、王様に気に入られ政治に介入させられる恐れがある。





「うむ。



 王子、説明はもういい。



 どれだけ聞いても理解不能だ。



 達太なしでシンデレラを探すでいいと思うがね。」





さすが王様。



聡明だ。



そうだぜ王子、俺に頼るな。



 



俺は朝から牛丼を食べたり、おやつにカレーうどんとメンチカツを食べたいんだ。





「じゅて~む、王子。



 楽しかったわ。」





俺は王子の頬にキスをする自分を想像し、王子の頬を凝視し、朝食会場を後にした。





そして2021年の、牛丼チェーン店の朝食へ向かう。





シンデレラと王子と俺の三角関係を、広げっぱなしだが、仕方ない。





じゅて~む