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じゅて~む

じゅて~む エッセイ編 第80夜「シンデレラボーイ④」

2021.06.20 00:19












【あらすじ】



N県新潟市やN県長野市でコント活動をする集団の、コント台本を担当している江尻晴子が、架空の男性・達太としてエッセイ連載にチャレンジ。



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エッセイの副題に「シンデレラボーイ④」とあるため、読者は俺がエッセイの傍ら、ジュノンボーイだとかジャニーズだとかに応募し、のし上がっていくドキュメントルポを始めたと思っているだろう。





安心して欲しい。



俺は、達太。



体を絞ったりしていない。可愛い顔立ちにも成っていない。



平日は出前をとり、外食し、自炊も行い、39歳にして高木ブー似をキープしている。



出前と外食と自炊の両立。これは、自炊をするより難しい。



3食以上、しっかりモリモリ食べなければいけないし、それに合わせて腹も空かせていかねばならない。



だが俺はストイックに、やってのけている。





そんな俺は、ひょんなことから、王子にシンデレラを探すように、との命を受けた。





お安い御用だ。



深夜0時にシンデレラは急に舞踏会を後に、走り去った。



2軒目へ向かったと思われる。



昼間の労働、そしてダンス、彼女は腹が減っていたのだ。



俺も。もっと食べたい気分だった。だが。彼女の足が速かったため見失った。





「王子、明日の11時に中央公園へお越しください。」





「シンデレラに、合わせてくれるのか? でかした、達太とやら。



 11時か、昼前だな。



 では彼女とランチを共にしよう。



 達太、お洒落な店の予約を頼む。」





「は?



 王子は何言ってるんですか。」





「おま、達太、無礼だぞ。



 俺に『は?』など言ってただで済むと思うなよ。俺には『は!』だ。」





「は!



 しかし王子、彼女はやって来ませんぞ。私、達太のみです。11時に現れるのは。」





「は?」





俺に「は?」を禁じた癖に、王子はまったく自由奔放だ。





「は!



 つまり王子。



 私達は11時に集まり、この村の全てのレストラン、定食屋を、食べて回るのです。



『昨夜0時すぎに、定食を食べに美しい娘が訪れませんでしたか?』



『そうですか、失礼しました。他を当たります。』



おそらく、15時までかかるでしょう。男2人の昼飯三昧。



は!さすが王子、鋭い。こんなことをしていては我々の腹がはち切れるかもしれません。



ですが、ムッシュ?



あなたのシンデレラへの愛は、その程度ですか?」





「・・・いや。



 では頑張ろう。だがムッシュは違う、それだけは言っておく。」





よく喋るこの王子にも男らしい一面があるではないか。





「は!では、王子、明日は腹を空かせて来てください。」





面白い展開になってきた。



明日は、王子とともに、この村のすべての店を回る。



本当に面白い展開になってきた。



どれだけ食べることになるんだ。



面白い展開だ。





「ところで達太、お前はシンデレラの何なんだ。」





「は!」



恋人であります!



は、さすがに違うな。俺は、シンデレラにとって、何だ。





「おい達太、シンデレラがめでたく見つかったとしよう。



私は彼女を妃に迎えようと思うが、問題はないな?」





「は!」とは言えない「は?」と言いたい俺がいた。





俺は、いつの間にかシンデレラに恋をしていたのか?



まさか。



確かに、俺より食いっぷりがいい美女には、この先出会えないかもしれない。




だが。こぶとりじいさんの前例がある。実際には小太りではなかった翁。



シンデレラも、大食漢とまだ決まったわけではない。シンデレラが大食漢の確率は、実は低い。





恋愛の雰囲気を纏ってきたな。



今夜は薔薇の花でも枕元に飾ろうか・・・。



棺桶のようになるか、ならないか、薔薇に囲まれ眠る俺。





じゅて~む