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じゅて~む

じゅて~む エッセイ編 第77夜「シンデレラボーイ①」

2021.05.30 01:14












【あらすじ】



N県新潟市やN県長野市でコント活動をする集団の、コント台本を担当している江尻晴子が、架空の男性・達太としてエッセイ連載にチャレンジ。



タイトルの「じゅて~む」は愛しているという意味だが、架空の男性・達太が主人公の小説「じゅて~む」からの引用でもある。



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俺は達太。39歳の会社員。



だが。日曜はエッセイストと成る。



スーツを脱ぎ捨て、腹いっぱい食べても良いようにワンサイズ上のチノパンを履き、立派な腹を出し惜しむかのようにワンサイズ上のTシャツないしはポロシャツを着こむ。





だが。今、俺の腹には1か月ちょっと前から、こぶし大のコブがくっ付いている。





SFではない。



エッセイだ。現実だ。



だから困っている。





こぶとりじいさんを小太りじいさんと勘違いし、一緒に鬼の催す宴会に出席したツケが、コレだ。現実だ。





エプロンで隠したい。





やれやれ。



せっかくの日曜。家でゴロゴロ、出前をとって、早めに眠りたいところだが。エプロンを工面しなければ。エッセイも書かねばだし。



どうせならエッセイのネタになるようなエプロン探しをしよう。





俺は、シンデレラを思い出す。




シンデレラが、魔法を頂きドレッシーになる瞬間、それまで着用していたエプロンは不要となるはず。





俺の腹を覆うエプロン。



俺の腹はとにかく立派。



それに見合うエプロン。迫力のあるエプロン。



「シンデレラが貧乏時代に召していたエプロン」



展示されていそうだ。



歴史がある。趣がある。悲哀もある。





俺の腹にふさわしい。





俺は、シンデレラが魔法を頂く瞬間へ。



さて。上手に立ち会えるか。





魔「いいかいシンデレラ、これからお前にかける魔法は、0時には解けるからね。覚えておくのよ。」





シ「あたしも舞踏会に参加できるのね!ありがとう魔法使いのおばあさん!」





達「・・・・・。」





10秒後。



そこには、美しいドレスに身を包まれたシンデレラと、



美しいドレスに身を包まれた俺が居た。



もちろん、カボチャの馬車も。





達「ねえ、魔女。エプロンはどこ行った?」





魔「あなた、誰。」





達「俺は達太。エプロンが欲しい。見て、このコブ。魔女、エプロンはどこだ。」





魔「達太、あたしは魔法使い。魔女と呼ばないで。達太はエプロンが欲しいの?」





シ「舞踏会が始まってしまうわ。」





しまった!



俺は魔法使いが女性と気付き、年老いてはいるが女性として扱いたいと「魔女」と呼びかけたが、どうやらソレは間違いだったらしい。



結果、彼女を傷つけてしまったようだ。女性はデリケートだ。





俺は彼女を食事に誘う。そうすることで、「魔法使い」そう呼びかけながらも、彼女を女性をして扱い、先刻の失礼を帳消しにするんだ。





達「マダム。夕飯はまだですか。もしそうならばディナーをご馳走させて下さい。」





魔「ドレス姿のあなたと?私が?」





俺はハッとする。



ドレスを着こみ、ドレッシーになった自分を顧みる。





俺は、魔法使いを見捨て、シンデレラと共にカボチャの馬車に乗り込むしかないようだ。





馬車の後部座席は、すこぶる狭かった。さすがカボチャ。



質量に対し、食せる部分が少ない。気になってはいた。





シンデレラが隣でグッタリしている。



俺が大きくて狭いせいか。



いや。昼間の労働のためだろう。





シンデレラ。



昼間は姉たちから労働を押し付けられていると聞く。



では、その労働に費やしたエネルギーを補完する食欲たるや、それは立派であろう。





楽しみだ。



シンデレラに負けんと舞踏会の食事を堪能してみせよう。



このドレスはハンデか。腰の部分が窮屈だ。だが負ける気がしない。



シンデレラより、食べてみせる。





美しい俺のライバル、シンデレラ。



戦いは始まったばかりだ。





じゅて~む