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じゅて~む

じゅて~む エッセイ編 第71夜 「達太こぶとりじいさんと寝食を共に②」

2021.04.17 17:01












【あらすじ】



N県新潟市やN県長野市でコント活動をする集団の、コント台本を担当している江尻晴子が、架空の男性・達太としてエッセイ連載にチャレンジ。



タイトルの「じゅて~む」は愛しているという意味だが、架空の男性・達太が主人公の小説「じゅて~む」からの引用でもある。



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俺は達太、39歳の会社員。



七福神の布袋尊に似ている。



信楽焼のたぬきにも似ている。





平日は職場で出前を頼み、麻婆麺や生姜焼き定食を頂き、カツカレーを頂き、夕方にはメンチカツをおやつとして頂き、夕飯もしっかり頂く、という規則正しい生活を送っている。





たまの日曜くらいは、昼近くまでカップ焼きそばユーフォーとバゴーンを食べ比べるなどして、不摂生に過ごさせてもらおう。



だがせっかくの日曜に、それではもったいない。



不摂生なりに日曜を満喫したいものだ。女性はそこのところのバランスが上手だ。パスタランチの後にパンケーキを食べるなどして、「太っちゃいそうだけど、たまにはいいよね!



たまにはスタイルを気にせず楽しまなくっちゃ!」



そうして月曜からまた輝く。



オン、オフのバランス。俺も見習いたいもんだ。




そういった理由で、俺は昔話の「こぶとりじいさん」に目を付けた。



貧乏な匂いが纏わりつく時代に、小太り。おそらく農民の老人が小太りとは。相当のご馳走を普段から食べているはずだ。



豚を、地主に秘密で豚を、大量に飼い慣らしているのかもしれない。



俺が娘なら、その家に嫁ごう。貧乏でも、幸せならばいいじゃないか。





考えていても始まらないので、俺はこぶとりじいさんと寝食を共にさせてもらうことに。





だが。



昼に、にぎり飯とたくあんをご馳走になり、「おや?貧乏だ。あ、そっか、晩に全てもってくるのだな。腹持ち的に晩は早めの16時か。昔話らしい時間帯の晩だ。」と納得し、こぶとりじいさんと一緒に野良仕事に出掛けたところ、鬼が6名、やってきた。





「翁、俺は晩は16時と言わず、15時でも大丈夫そうです。」





「はい?



 それより大変じゃ。



 向こうからやってくるのは鬼じゃ。達太さん木の陰に隠れるんじゃ。」





「では晩は15時で決定で。



 隠れるのも了解です。」





ところが、俺の腹が木の陰に収まりきらない。



鬼にすぐに見つかってしまった。





「おい、そこに人間がいるな。



 俺達はこれから宴会を開く。



 踊りを見せて楽しませてくれたら、助けてやろう。」





「助ける?」





俺は今、何も困っちゃいない。



救ってもらう必要などない。



つまり。俺の聞き間違えか。





「今、助けると言いましたか?」





俺は鬼に確認する。



こぶとりじいさんは俺の、Tシャツの裾をグイグイ引っ張り、「やめろ」の意を伝えてくる。



ああ、またか。だから仕事慣れしてない相手とはやりづらい。



「翁、わからない者同士で相談はご法度です。わかる人に確認。これができない奴が意外と多いんですが、ミスを防ぐためにも、わかる人に聞くこと。



さ、鬼。もう一度。助けると聞き間違えたのですが、本当は何て?」





「そうだよ。助けてやると言ってるんだ。さあ、踊れ、踊らないと、助けてやらないぞ。」





聞き間違えではなかったか。





では。



俺は何から助けてもらえばいいんだ。



せっかくだから困っている物事がないか、洗い出そう。





「達太さん。鬼は、ワシらを見逃してやろうと言ってるんじゃ。食ったりせずに、見逃してやるっと意味合いじゃ。」





こぶとりじいさんがグイグイと裾を引っ張り続けている。



だが俺は、昼が貧乏だったため、そして困りごとを考え中で、じいさんの言葉が全く耳に入ってこない。



だが、じいさんの発した言葉の一端は、入ってきた。



「食ったりせずに」





元はといえば。じいさんが、俺に昼に粗食をさせたのが悪いんじゃないか?



だから鬼がやってきた。



違うか?





俺は困りごとを洗い出した。




「鬼。お待たせしました。



 助けて下さい。



 俺は15時まで待てません。



 今から始まる宴会に混ぜて下さい。



 こちらの翁も空腹に耐えている。その証拠に俺の衣服の裾を、このように引っ張っている。何か主張があるのでしょう。おそらくそれは空腹。」





「何だと?



 踊ったら助けてやるんだぞ?」





「だから鬼。宴会に混ぜて下さい。」





「踊ります!



 鬼さん、ワシらは踊りますので助けて下さい!」





「翁は黙っていて。



 鬼。レジャーシートと重箱を。



 翁も、そんな踊りたいなら宴会が盛り上がった頃に。さあ鬼も翁も。重箱を。」





「せめて、さんを付けなさい!」





「はいはい、翁さん。」





「違う!鬼に!



 あ、今のは違うんです、とにかく踊ります!」





「鬼。このとおり、翁は空腹で様子がおかしい。助けて下さい。俺達お昼はにぎり飯とたくあんだけだったんです。このとおり、俺も翁も小太りにも関わらず・・・」





! ! !



! ?





俺は鬼に説明しながら、唖然とした。



じいさんは、普通だ!



小太りではない!





俺は、何をしているんだ。





見れば見るほど、じいさんは昔話でよく見るタイプ。



特徴といえば頬にこぶがあるくらいか。





俺は茫然と、小太りではない、もはや魅力の無くなってしまったじいさんを眺める。





「??どうしたんじゃ。



 ワシの顔に何か付いておるか?」





「コブが付いているぞ。大丈夫か2人とも。踊ったら食ったりしないし、なんならコブも取ってやろうという話なんだが、」





次回、



いよいよ待望の宴会が始まる・・・。





じゅて~む