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じゅて~む

じゅてむりん⑤ 第67夜

2021.02.20 01:44












【あらすじ】



N県新潟市やN県長野市でコント活動をする集団の、コント台本を担当している江尻晴子が、架空の男性・達太としてエッセイ連載にチャレンジ。



タイトルの「じゅて~む」は愛しているという意味だが、架空の男性・達太が主人公の小説「じゅて~む」からの引用でもある。



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俺は達太、39歳、高木ブウ似の会社員。



土日はエッセイスト。



エッセイを発表している。



だが、ひょんなことから、映画グレムリンにならい、『じゅてむりん』として、姿かたちはそのままに、アメリカの家庭にクリスマスプレゼントとして贈り込まれた。



最近はその状態でエッセイを発表している。



少年ビリーは俺をギズモと呼びたがるし、3つの約束事がある。





①達太は太陽を浴びると死ぬ。



②達太は水を浴びると5体に増える。



③達太は深夜0時以降に食事をすると、緑色になり、凶暴化する。





俺は、贈り込まれたその夜遅くに、早くもこの約束の②と③をクリアー。





バスルームでシャワーを浴び、5体に増えた。



中にはヴェジタリアンの俺もいて、驚いた。しかもヴェジ達太は、キラキラの二重だ。



女性のジュテムリンも誕生するかと内心ときめいていたが、居なかった。



バスタオルは予め、5枚用意しておいたので、喧嘩にはならなかった。





俺たちは仲良く、クリスマスオードブゥルの残りを食べるため、キッチンへ向かい、そして頂いた。



深夜一時だったか。



セーフだ。



明朝頂くと、フライの軽快さと重厚さが薄れる品もあったはずだ。



美味しいうちに5体の達太が頂いた。





これで③もクリアー。



俺たちは緑色となった。





残すは、①



太陽を浴びて死ぬ。



それは避けたい。





太陽を浴びて日本に帰る。



それなら我慢できる。



何故ならビリーとは文通をすれば良いからだ。





しかし。



死ぬ?



それは困る。





俺はビリーへのクリスマスプレゼント。そんな俺が明朝、太陽を浴び、死ぬ。





一夜にして消えるプレゼントなんて、あるか?



あるな。



誕生日にご馳走を食べ、



「美味しかったかい?



 贅沢な献立だったね。」



「サプライズプレゼントは大成功かな?」



「せーの、サプラ~イズ!!」





そうか。



プレゼントが残るものではない場合、つまりそれはご馳走だ。



俺は、ビリーのご馳走になれば①の約束を破って消えても、ビリーの心に残るだろう。



クリスマスプレゼントのご馳走ジュテムリンとして。





サプライズだ。



日傘を差して延命?



それはビリーに恥をかかせる。





心無いアメリカ子供は、よってたかって言うだろう。



「おい、ビリーのチビが、緑色の太っちょ短足のおじさんを連れて歩いてるぞ。」



「しかも、おじさんのくせにビーチパラソルを差してないか?」



「おい、それより、5人もいる。」



「おい、しかも5人ともなんか似てるぞ。」



「それは東洋人が皆同じに見えてしまう、俺たちに非があるかもな。」



「そうかな~。俺は錦織と松岡とマイケルチャンの区別はつくぜ?」



「俺も。錦織と八村塁の区別はつくぜ?」



「じゃ、やっぱビリーの隣のおじさん達は同じ人物ってこと?



でも、緑色なのはどう説明する?」



「それは、その。あのおじさん達がイエローモンキーだからさ。」



「え?緑色って、英語でイエローだっけ?あれ、あれ?グリーンが、黄色だっけ?」



「もうよくわかんねー。」



「にしても日傘は無いよな。



 緑色の高木ブウ似のおじさんが、なんで日焼けを怖がるんだ。」





想像するだけで胸が痛む。



俺のせいでビリーが。





俺は、他4体のジュテムリンと、ビリーの寝室へ向かう。





ビリーのほっぺにキスをするのだ。



解決策が思いつかない今、ビリーにキスをしてあげる事が、愛だ。





俺たちは寝室へすべり込む。



アメリカとはいえ、子供部屋は狭い。



とても窮屈だ。



だが、俺はこれしきのことでめげない。



ビリーのほっぺに、5人で順番に、キスだ。



3人めの俺あたりで、ビリーは目を覚ますかもしれない。





メリークリスマス。





ところが、



俺は急に閃いてしまった。





せっかく緑色の、凶暴化した俺たちジュテムリンだ。



5体のうち、2体が、赤かったら?



クリスマスカラーが完成だ。



しまった!



俺としたことが、緑色の凶暴化したジュテムリンばっかり5人で、ビリーの部屋に来てしまった!





これから急いで2体を赤くするんだ!



ビリーが目覚める前に!



塗料か何かで、体を赤くする!



緑、赤、緑、の順番でビリーにキスをするんだ!





ところが、俺達は凶暴な状態だ。



本体の俺が、2体のジュテムリンに赤い塗料を塗っている間に、



その他の1体がビリーに、キスをしてしまったら、どうする!





急げ、本体のジュテムリンのエッセイストの俺!



しかし。



いくらアメリカの家庭とはいえ、すぐに赤い塗料が手元にある訳ではなく・・・。





ハッピーエンドが待っている。





とても楽しみだ。



じゅてむりん。





そのとき、玄関のチャイムが鳴った。



この時間に、しかもクリスマスの夜に、お客人?





アスクルで赤い塗料を手配した覚えもないし。



誰だ。まさか、泥棒?



ホームアローンに物語がシフトするか。それは困る。俺はあくまでもジュテムリン。





「俺の、フィッシュ&チップスだ・・・。」





ヴェジタリアンのジュテムリンが目を輝かせた。





「皆ばかり美味しそうだったから、



 俺もヴェジタリアンとはいえ、達太には違い無いのだし、もっと野菜を食べたいなと思って・・・さ!」





何か引っかかるものがある。



ヴェジタリアンのジュテムリンは俺達に逆に質問をよこす。



「ヴェジタリアンじゃないジュテムリンの君たちは、白身魚のフライになんて興味ないだろう? 



俺ひとりで頂くね。」





確かに。白身のフライなど、のり弁にでものっけておけ。



のり弁と同額なら、迷わず唐揚げか生姜焼きだ。




「それにシーフードピザも、もうすぐ届く。」



「クラブハウスサンドも。一番安値のシンプルなハンバーガーも。」





なるほど。



やはりジュテムリンはジュテムリン。





そのとき、ビリーが



「むにゃむにゃ、ギズ、いや達太?」



キスする前に目を覚ましてしまいそうだ。





どうするジュテムリン達!





じゅて~む