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じゅて~む

じゅてむりん④ 第66夜

2021.02.14 01:20












【あらすじ】



N県新潟市やN県長野市でコント活動をする集団の、コント台本を担当している江尻晴子が、架空の男性・達太としてエッセイ連載にチャレンジ。



タイトルの「じゅて~む」は愛しているという意味だが、架空の男性・達太が主人公の小説「じゅて~む」からの引用でもある。



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俺は達太、39歳、高木ブウ似の会社員。



今、映画グレムリンにならい、『じゅてむりん』として、姿かたちはそのままに、アメリカの家庭にクリスマスプレゼントとして贈り込まれている。





だが、縛りが多い。



人間には守ること不可能である約束事があるのだ。



①太陽を浴びない。浴びたら死ぬ。



②水も浴びない。浴びたら5体に増殖する。



③深夜0時以降に食べない。食べると緑色になり凶暴化する。





だが俺は、この3つの約束が、3つと見せかけて実は2つと見抜いた。



②は気にしなくていいのだ。



俺が5体に増殖。



何か問題があるか。無い。



むしろ魅惑的だ。



しかも少しずつ、本体の俺とは異なる俺が生まれるようだ。



会いたいではないか。



キラキラ二重の俺や、ハゲの俺、



そして、女性の俺。おそらくモテる。








早速、俺は②の約束を破るためにバスルームへ向かう。





大丈夫、バスタオルは5枚、用意した。



バスルームで俺たちは出会う。



ハッピーエンドが待っている。





♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡





「おめでとう。」



「生まれてくれてありがとう。」



「お、お、俺が5人?」



「初めまして慌てないで。」



「まずは自己紹介から。俺は達太、39歳、会社員。座右の銘は大盛無料。好きな花は薔薇。」



「俺もそうだ。好きな花は薔薇。」



「まいったな、モロ被りじゃないか。」



「バスタオルが足りないかもしれない。」



「大丈夫だ、あらかじめ、5人分用意した。」



「バスタオル5枚??」



「よくバスタオルを5枚も用意できたな。すごいぞ。」



「静粛に。会いたかったよ、みんな。



 でも一旦目を瞑るんだ。



 女性のジュテムリンが、いるはずだ。いくら同一人物とはいえ、女性の裸の前では目を瞑るのがジェントルな振る舞いだ。」



「一理ある。いくら湯気の中とはいえ、女性が入浴中は目を瞑るのがジェントルだ。」



「俺と瓜二つでも女性には違いない。目を瞑ろう!」





「・・・・。」



「・・・・。」



「・・・・。」



「・・・・。」



「・・・・。」






「女性のジュテムリンは、洗髪を終えて脱衣所へ行ったか?」



「返事が無いな。」



「よし、目を開けよう。」





「なんだ、おい、全員男性じゃないか!」



「目を瞑る必要なんて無かったわけだ。」





俺は安心した半面、少し寂しくなる。



女性のジュテムリンに会いたかったのだ。



俺にそっくりの女性。可哀そうに。



だがモテる。①の約束にのっとり、太陽で死なないために日傘を差しており、モテる。





俺たち5人は、シャワーを浴びて小ざっぱりした。



そしてもちろん、台所へ向かう。



小ざっぱりしたら、ビールを飲んで、揚げ物を食べる。



それが俺たちの約束だ。



3つの約束よりも強い、遺伝子に組み込まれた約束だ。



とにかく食べる、そういう約束だ。





増殖した俺のうち3人は、卓上にあるピザ、フライドチキン、ソーセージを食べた。



③の約束をあっけなく破ったのだ。



仕方あるまい。映画的にもそれが正解だ。増えて生まれたばかりの俺たちは、つい本能で動いてしまうのだ。





そして俺のうち3人は、緑色になった。



耳は尖り、だが、顔がブヨブヨなのであまり目立たない。





牙も生えた。



だが、紫色のブヨブヨの唇で隠れてしまい、牙もやはり目立たない。





肌は緑色で、堅くなった。



だが所詮はぜい肉。表面が固くなっても、本質は柔らかいままだった。





どうやら凶暴化しているようだが、食べる速度が元々早いせいで、



食い散らかしてはいるが、凶暴と判別するのは難しい。



緑色だがとにかく良く食べる、そういう印象だ。





俺は、それを眺める。



約束の③を、一応、俺だけでも守らなければ映画として成り立たない気がするからだ。





ところが、隣にも俺と同じスタンスの俺がいた。



目が二重でキラキラしている。



俺は、彼を頼もしく思う。バディに最適だ。この町の平和を守ろう。



だが、なぜ、隣の俺は、クリスマスオードブゥルを食べない?





彼は言った。



「俺はヴェジタリアンのじゅてむりん達太。よろしく。」





俺は驚いた。



増えた俺の中に、まさかヴェジタリアンの俺がいるとは。



やはり頼もしい。





俺のその心を見破ってか、ヴェジタリアンの俺は



「おや。信じてくれないかい。



 では証明してみせよう。 



 クリスマスオードブゥルの脇にあるサラダのレタスを、食べてみせるよ。」





レ、レタス!?



そんなもの食べて、楽しいのか??



俺は困惑する。





だがそんな俺に一向構わず、ヴェジタリアンの俺はレタスを口元へ運ぶ。



俺に見せつけるはずだったのに、俺に一向構わず、レタスを、だ。



根っからのヴェジタリアン、というわけか。



頼もしい。肌色の俺が、もう一名残る。





だが、ちょっと待て。



レタスでも、深夜0時以降はアウトな気がする。





「おい、やめろ、レタスでも、」





遅かった。



ヴェジタリアンの俺も緑色に。





俺はレタスって美味しいのか?と彼に想いを馳せ、ソーセージにレタスを添え、ドッグパンに挟む。



ホットドッグの出来上がりだ。




いただきます。



アーメン。



ご馳走様でした。





俺も緑色に。



③の約束も、これでクリアーだ。





5名の緑色のジュテムリン達太。



次回はクリスマスの街へ繰り出す予定だ。



楽しみだ。



ハッピーエンドが待っている。





じゅてむりん。