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じゅて~む

じゅて~む エッセイ編 第61夜

2021.01.30 04:22












【あらすじ】



N県新潟市やN県長野市でコント活動をする集団の、コント台本を担当している江尻晴子(39歳)が、架空の男性・達太としてエッセイ連載にチャレンジ。



タイトルの「じゅて~む」は愛しているという意味だが、架空の男性・達太が主人公の小説「じゅて~む」からの引用でもある。



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失敗した。



ああ、失敗した。





俺はこのエッセイが第50夜を迎えたら、盛大にお祝いをしてやらなば、と考えていたのだ。





しかし、とっくに終わっていた。



ちょうど年末だったのもあり、仕事納めの解放感もあり、ほら、俺は月~金曜は会社員だから。



とにかく、第50夜を盛大にお祝いしてやることを忘れていたのだ。





そこで俺は、第50夜のお祝いを諦め、第60夜をお祝いしてやろうと思いついたのだ。





延期だ。




しかし、先週末に第60夜は終わってしまった。



中途半端な数字60にまで見放されてしまった。




俺は虚しさに襲われ、一人、旅に出ることにした。



女を誘おうか。



だが、エスコートする気力が俺にあるか。無い。俺はエッセイのお祝いを二度も逃したのだ。





それに第一、女を連れて回った場合、それは一人旅とは言えない・・・。





出発して20分、俺は道の駅を発見。



一応寄っておく。



足あとを残すんだ。



肉そば大盛を、軽くいただく。



一人旅の途中で誘拐されたときのために。



熱烈な俺のエッセイのファンは、俺が第60夜のお祝いを逃したことに気付いているだろう。



「え?浦島太郎がうな重を食べておしまい?先生らしくないな。



今夜は、なんらかの重大発表があるはずなのに。そう、お祝いだ、お祝いムードが無いんだ!」





そして熱烈なファンは、俺を愛するあまり、俺を疑ってしまう。



俺が、本当の「じゅて~む」の世界。



すなわち、恋愛世界に没頭してデート三昧で、馬鹿馬鹿しいエッセイから足を洗うのではないかと。





ファンは思う。



「断筆!



 許さん!



 達太め!」





嬉しいような、困ったような。





ファンは俺を探し出し、なんとしても俺にエッセイを書かせるだろう。



俺はファンに誘拐され、直江津あたりの駅前のビジネスに軟禁される。



ファンは俺の生態を完璧に理解しているのでデリバリーは絶えない。



カツカレー。ハンバーグ弁当。牛丼。



ベッドの上には薔薇の花束。もちろん39本。俺が39歳だから。





そうならないために、道の駅に俺は寄りまくる。



足あとを残すんだ。



警察にすぐに救ってもらえるように。



しかし。



道の駅に寄って、肉そばや、海鮮丼や、地元ポークの豚串や、特大豚まんや、メンチカツを頂くだけで、俺の足あとはしっかり残せているのだろうか。





俺は不安になる。





俺は顔はめパネルを発見する。



これだ。



記録するのだ、俺を。





俺は顔を、顔はめパネルに、ハメる。





そして、記録。



つまり、写メだ。





俺はパネルに顔を埋め、押し付け、



短い腕で俺を撮る。



パシャ、や、



カシャ。



繰り返す。





なぜ繰り返すか?



俺が映らないからだ。



パシャ。



カシャ。



何度撮っても、俺は映らない。





俺の腕が短いためか。



顔ハメパネルが、自撮りに向いてないためか。そんなわけあるか、このインスタグラム時代に。





やはり俺がムチムチの胴長短足で、腕も短い、そのせいだ。





俺は、顔ハメの自撮りを、映っていないが各道の駅で繰り返す。




大王イカの俺、



武士の俺、



朱鷺の俺、



芸妓の俺、





映ってなくていいんだ。パネルにうずもり、撮れていないのに撮ることが大事だ。



これで、熱烈なファンに誘拐されても大丈夫だ。





だが俺は熱烈なファンも大事に思う。





お祝いをしようじゃないか、第61夜に。





重大発表。



『あなたの街の達太』





募集します。



ご応募お願いします。





そしていつの日にかオフ会を。



皆でエッセイ「じゅて~む」を朗読し、ツッコミどころを共有するんだ。



場所はそうだな、



新潟市のブルーカフェがいいだろう。皆で朗読をしながら、達太の集団になったつもりで、メニュウに無い生姜焼き定食や牛丼を、マスターと美人女給にオーダーするんだ。



焼き肉食べ放題のようにカルビ追加を繰り返し、ビビンパ人数分もお願いするんだ。





書籍化が最大の夢だが、オフ会も、『あなたの街の達太』も、やろうな!





じゅて~む