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じゅて~む

じゅて~む 童話エッセイ編 第56夜 「達太、赤ずきんちゃんの兄に③」

2021.01.12 03:34












【あらすじ】



N県新潟市やN県長野市でコント活動をする集団の、コント台本を担当している江尻晴子(39歳)が、架空の男性・達太としてエッセイ連載にチャレンジ。



タイトルの「じゅて~む」は愛しているという意味だが、架空の男性・達太が主人公の小説「じゅて~む」からの引用でもある。



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まずは自己紹介から。



俺は達太、39歳。




一番好きな童話は「赤ずきんちゃん」



理由は、俺の入り込む余地があるから。



俺は赤ずきんちゃんの年の離れた兄として、おばあちゃんの見舞いに同行した。



途中、オオカミが「キレイな花畑があるぜ?寄っていくといいぜ?」と、俺の妹をそそのかしにきたが、俺は兄として論破。





そうして、5件ほどのレストランに寄り道しながらも、オオカミより先におばあちゃんの家に到着し、おばあちゃんの傍らに寝そべり、自作の赤ずきんをほっかぶり、赤ずきんちゃんのフリをし、



見事にオオカミの食欲を削いだのだ。



「こんな女、食いたくない。」



オオカミは思って、



「じゃあまた森で。」



など言いながら、去った。





色々、鮮やかだろう。



だが、妹の赤ずきんと俺はいつの間にかはぐれてしまっていた。



おそらく、いずれかのレストラン。



俺はポークソテーを2分で平らげた。ビーフシチューは熱々だったので4分。



ミートパイは1分。



ポークカツレツは2分。



ポトフは、10分。食べても食べても、満足いかなかったのでおかわりを4回したからだ。





だが、妹は。



ゆっくり食べていたように思う。



さすが俺の妹、行儀が良い。





だが。5件ほどのレストランに立ち寄ったため、どのレストランではぐれたか、わからない。





しかも俺は、俺の威厳と、俺に食われるのではないかとの畏怖を、オオカミに与え、オオカミを森に放ってしまった。





今、また、オオカミが俺の妹に近づいているかもしれない。





俺は森を駆け回る。



「赤ずきーん!赤ずきーん!」



と叫びながら。



俺まで、ニックネームで呼んでしまって、妹には申し訳ないのだが、妹の名前が、まったく思い出せない。



無事に再開できたなら、妹を今度こそ名前で呼び、抱きしめてやろう。





しかし、なかなか妹とは再開できない。



くそ。森は広い。深い。



途中、狩人にイノシシと間違われ、打たれそうになりながらも、俺はなんとか、妹に辿り着いた。





しかし。



最愛の妹の隣に、オオカミが。





俺は2人ににじり寄る。



まぁた同じ会話をしている。





「キレイな花畑があるぜ?寄っていくといいぜ?」





「まあ!」





「おばあちゃんの見舞いはもう、済んだろう?



それにおばあちゃんちにいるときの君は、とってもブサイクでブヨブヨだったぜ?」





「は?あたしが?ぶよぶよ?」





「ああ。音楽家のバッハが、目の力を失い、音楽に嫌われ、30㎏増量した状態だったぜ?」





「あたしが?」





「ああ、ひどいもんだった。食欲を削がれたよ。でも、元に戻って良かった。」





「ねえ、音楽に嫌われ、ってどういうこと?」





「いいのさ、そこは、忘れなさい。」





「わかったわ、忘れる。



 でも一個だけ聞かせて?



 赤い頭巾は、似合っていた?」





「うーん。」





なんという愚鈍な会話。



俺は、木陰から飛び出す。





「その赤ずきんは、こんな風じゃなかったか?!」





俺は、瞬間、オオカミの毛が逆立ったのを見逃さない。



本能的に「食われる!」と、毛を逆立てたのだろう。





「オオカミよ。



 キレイな花畑、キレイな花畑、その一辺倒で俺の妹をそそのかさないでくれたまえよ?」



「第一、花畑は、だいたいキレイだろう。お前は何を言っているんだ。」



「汚い花畑を見たことが、あるか?



 おい、妹よ、お前も聞くんだ。



 汚い花畑なんて、無いだろう?



 キレイで当然。



 どうせ花畑花畑云うのなら汚い花畑があるぞと、そそのかせ。



『何それ!』だろう。



 実際に目撃しないと、どう汚いか、まったく想像つかないはず。」





オオカミも妹も、ぽかんとしている。





俺は更にオオカミを追い詰める。





「さあ。俺に食われる前に去りたまえ。君は、未来では絶滅危惧種だ。俺だって絶滅危惧種を食べるなんてことはしたくない。」





オオカミはショックを受けるだろう。





「お、おま、おま、お前、なんかスゴイと思ったら、未来人なのか?」





「そうだ。」





「俺、俺、俺が、絶滅??」





「そうだ。」





「嘘だ!」





「信じたくないのであれば、結構。だが、君らはレッドデータブックに載っているぜ。」





「レッドデータ、ブック?」





「未来のデスノートみたいなもんだ。」



「いや前言撤回。デスノートは違う。デスとならないためのブックだ。」



「しっかりと書いてあるよ。ニホンオオカミ、とね。」





「二ホンオオカミ?



 二ホンて何?」





しまった!



俺としたことが、ここは外国、今、ウェブ検索したところ、赤ずきんちゃんの舞台はフランスもしくはイタリア!



色んな説があるが、どっちかだ!




俺はオオカミの質問を無視。





妹と、オオカミを無視して帰宅する。





帰宅するなり、母に、俺は説教をする予定だ。



病人にぶどう酒やチーズや木いちごのパイを差し入れるのはやめろと。





甘酒にしておけと。



母は「甘酒?なにそれ?結局、甘口のワインでしょ、それも。」という表情になるだろう。



俺は、母の心中を察し、教えてやる。





「黄金の国、ジパングの滋養強壮に秀でた、腹の足しにならないノンアルコール飲料ですよ、お母様。」




おい、ちょっと待て。



オオカミにも「黄金の国ジパングだよ、以後お見知りおきを」って言えば良かったな。





日本国民の代表として、うっかりミスをしてしまったな。





日本の皆さんへ、



申し訳ありませんでした。



以後、童話に登場するときには気を付けます。





じゅて~む!