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じゅて~む

じゅて~む エッセイ編 第33夜

2020.10.31 16:53












【あらすじ】



N県新潟市やN県長野市でコント活動をする集団の、コント台本を担当している江尻晴子(39歳)が、架空の男性・達太としてエッセイ連載にチャレンジ。



タイトルの「じゅて~む」は愛しているという意味だが、架空の男性・達太が主人公の小説「じゅて~む」からの引用でもある。



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まずは自己紹介から。



俺の名前は達太。39歳の会社員だ。



土日はエッセイストでもある。



外見は高木ブーそのもの。



だがハワイに行ったことは無い。ウクレレもおそらく弾けない。ドリフターズにも不参加。




いいんだ。俺は俺。



好きな言葉は弱肉強食。



似ている音楽家はバッハ。



好きな音楽家は特に無し。



好きな映画はインディジョーンズ。



趣味はお花見。





そう。冷静で合理的な俺にだって、趣味くらいある。



数字が趣味に見えるって?



そりゃどうもサンキュー。



でも真逆だ。



俺の趣味はお花見だ。




一人で散歩をしつつフランクを頂きつつ、桜並木を練り歩くのもいいだろう。



みんなで桜の木の下、ブルーシートを敷き、お酒を飲みながら焼きそばや肉巻きおにぎりや大量の唐揚げに囲まれるのもいいだろう。



女と二人、桜並木を延々ドライブするのもいいだろう。



桜並木はいつか途切れる。切ない。だが切なく思うな。引き返すのだ。そうすれば桜並木の下を延々ドライブすることができる。



「何往復するの?」



など言う女がいたなら、その女とはその春限りだ。次の春は、無い。





桜の木の下、ブルーシートを敷いて唐揚げに囲まれるお花見については、「お開き」がある。



女との桜並木ドライブが延々続くのに対して、もの悲しい。



誰もがそうか。悪かった、俺ばかり悲しいみたく嘆いた。



そうだったよ思い出した。僕ら日本人、桜がとっても好きなんだぜ?





話が逸れたな。人格も逸れていたな。



ブルーシートのお花見の「お開き」についてだ。



自分のところのお花見が「お開き」になったら、他のブルーシートにお邪魔するのだ。そうすればお花見は延々続く。



お花見のめでたい席だ。思い切ってどかっと腰かける。違和感ない。



万一にも、俺の参加に戸惑っているようなら、唐揚げをつまみ始める。



しっかりと、想像を頼む。



違和感なく合流しているだろう?



桜と、そんな俺を、しっかり想像を頼む。





そのブルーシートが「お開き」となったら、また次のブルーシートへ。



次のブルーシートに「初めまして」のときには、堂々とゆっくりと腰を下ろすことが肝心だ。



なんせ全員酒が入っている。スロウな動きがウケる。



自己紹介は割愛。お前誰だとは言わせない。



趣味のお花見だ。仕事ではない。自己紹介無しでゆく。



それに。桜の下、同じブルーシートにいる、それは一心同体という事。皆が達太39歳、高木ブーそっくりの会社員だ。自己紹介するなんて馬鹿げている。



その逆も然り。俺だって57歳の初孫にメロメロの婦人と一心同体にも成り得る。



俺も初孫にメロメロになることくらいある。なんせ趣味の時間。仕事ではないのだ。





そんな俺でも、ブルーシートに「初めまして」が恥ずかしい事もある。



そう、桜が散り始める頃だ。



あとは、お邪魔先に唐揚げがないとき。



恥ずかしさが勝ってしまう。自意識過剰とはわかっていても。



そんなとき俺は神様の気持ちで、ブルーシートにお邪魔する。



幸いにも俺は、七福神の中の恵比寿天、大黒天、布袋尊に似ている。



7人中の3人に似ているのだ。





釣り竿と魚籠(びく)を持ってブルーシートにお邪魔し、どっかり腰かけ「皆、思う存分に桜を楽しみなさい!」と煽れば恵比寿天。



皆に拝まれる。



オレンジ色の服で白い袋を担いでお邪魔し「宴を続けなさい~!」と煽れば大黒天。拝まれる。



しっかりと、想像を頼む。



ライトなコスプレで神様として宴に合流する俺と、そして桜吹雪を。



様になるだろう?





難しいのは布袋尊。



恵比寿天は釣りの恰好。簡単だ。



大黒天はオレンジ色の服。アルビレックスのある日など向いている。



ところが。布袋尊になるには、素肌にカーディガンを羽織り、腹は丸出しにする。



恥ずかしい。



自意識過剰なのはわかっている。



実際は自分が気にするほど、周りは自分のことなど見ていないのだ。



桜並木を上半身裸で、かろうじて一枚羽織り、しかし腹は丸出しで、その腹を突き出し練り歩こうと、



周囲は桜しか見ていないのだ。



布袋尊としてブルーシートに腰かけたら、その瞬間に恥ずかしさは立ち消える。落ち着きを取り戻すというかなんというか。



その直前までを、どう克服するかだ。俺も、腹も。



ちなみに、布袋尊のときにはスキンヘッドにもするのだが、それは億劫ではない。





4月、趣味を終えた俺は暇人となる。



ところで今日から11月だ。



なんで俺は4月の話をしているんだ。



わからない。



ま、エッセイとはそういうものだ。わからない、不思議、ホラー、ミステリー、それがエッセイだ。仕方なし。





今日から11月。



すべての日が「イイ何とかの日」と成る一か月がやってきたというわけだ。



新年よりめでたいではないか。



月の後半のイイ風呂の日と、イイ肉の日を、お楽しみに。





イイ風呂の日と、イイ肉の日に、



何かが起こる・・・。





じゅて~む