Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

じゅて~む

じゅて~む エッセイ編 第31夜

2020.10.25 00:34












【あらすじ】



N県新潟市やN県長野市でコント活動をする集団の、コント台本を担当している江尻晴子(39歳)が、架空の男性・達太としてエッセイ連載にチャレンジ。



タイトルの「じゅて~む」は愛しているという意味だが、架空の男性・達太が主人公の小説「じゅて~む」からの引用でもある。



ーーーーーーーーーーーーーーーーー



こんばんは。



夢で逢いましょう。



挨拶はこのへんにして、まずは自己紹介から。



俺は達太。平凡な39歳の会社員だ。



外見はそうだな。



良く言えばジャムおじさん。



悪く言えばアンパンマン。



わかりやすく言うと、藤岡弘が40㎏の増量に挑んで、もちろん役作りなのだが、ドクターストップがかかってしまい、藤岡弘は降板。



監督は代役に高木ブーを希望したが、演技指導係が塚地(ドランクドラゴン)を希望してきて、関係者全員が悩んでいるところに、演技上手の俺が現れたら、大団円。



という外見だ。





はあ。



疲れた。



「わかりやすく言うと」というフリで、長々語るという、お笑いをやってみたのだが、どうも俺にお笑いは向かない。



長々しいだけで、大変わかりやすい例えとなってしまった。



エッセイストだから仕方ないのだが。



はあ。疲れた。俺は疲れやすいのだ。スタミナ牛丼を食うか。



いや。



エッセイスタートだ。スタミナ牛丼は後回しだ。エッセイだ。





俺には双子の弟がいる。



正確には、いた。



名は達細。



たつほそと読ます。




達細はいつでも俺にべったりだった。俺のすることは何でも真似た。



元々一卵性なので、俺と達細はそっくりなのだが、聡明な子供だった俺の発明する遊びを真似てばかりいた達細は、俺と同じく丸々した可愛らしい奴になってしまった。





例えば俺は、おかわり5杯ゲームという、ご飯を5杯食べるだけの面白い遊びを編み出した。明解なルールがウケた。誰に。俺と達細にウケた。



なるべく寝転んで一日過ごす戦い、ただしシチューを飲むときだけ立って良い、という複雑な遊びも編み出した。



達細は喜んでシチューを飲んだ。俺は寝転んでカレーパンを食べた。





お誕生日会の招待状には



『ドレスコードは片手にメンチカツを乗せてくる☆です。待ってます。達太&達細』



としたためた。



招待したクラスの男子13人中、当日は2人しかメンチカツを手に乗せてこなかった。



当時の俺は、



「こいつら。俺の家に来るまでに我慢ならずに食べてしまったのだな。友情に薄い奴らめ。しかし子供のしたこと、許すか。」



今思えば、俺こそが子供だった。今ならわかる。皆、親に止められたり、冗談と勘違いしたのだろう。



メンチを手にのせてきた2人とは、今でも年賀状のやり取りがある。





さて達細だ。



俺と達細は瓜二つ。



達細は当然、周囲から馬鹿にされるようになる。



達太の俺は、丸々して可愛らしい、そうだ、それでこそ達太。



しかし達細。名に「細」という最悪の一文字がある。俺は両親を恨む。なぜ俺ばっかり得をして達細ばかりが損を。



俺は達細を馬鹿にする奴らを片っ端から校舎裏に呼び出し、そいつらを心の中で揚げ物にして食べることで、何とか達細を周囲から守ってやった。



達細もそんな俺を心から尊敬しているようだった。





しかし別れは突然やってきた。



それは俺と達細が19歳のとき。



俺も達細も、音楽家バッハにそっくりだった19歳の春。



達細は子犬のように親戚の家にもらわれて行った。



俺は右腕を失った気分になった。腹の右上に腕が無い。腹はある。じゃあ問題ないではないか。何が不満だ?



なんとも表現しがたい状態だ。



ぽっかり、腹に穴が開いたような。その腹を埋めるため、人の3倍のカレーライスを食べなければならない。




淋しいの一言に尽きる。





長々述べたが一言で落とす。



「淋しい」



こんなときにお笑いがさく裂だ。皮肉なもんだ。





当時の俺は、達細との別れの原因が自分にあると思い込んでいた。



俺にかかる食費が家計を圧迫。



弟である達細を他所へやるしか、宮村家を守るすべは無かったのだ。





しかし実際は違うようだ。



今ならわかる。



進学だ。



山形の大学に通うべく、達細は山形の親戚の家に居候をさせてもらったのだろう。



山形の親戚は、達細にかかる食費で家計を圧迫されたのだろう。



みるみる貧乏くさくなっていった。





達細は食うに困ってないか。



名のごとく細ってしまい竹野内豊のようになってしまっては、いないか。



兄として大変心配だ。






先日。



俺は思い切って両親に、達細は元気なのかと尋ねてみた。



竹野内豊みたくなっていないか心配だと。



したところ。両親は達細の存在を知らないではないか。





・・・・はて。



嘘つきは両親か。



それとも俺か。



夢オチか。



夢オチと並ぶ「草オチ」をご存じか。虫かと思ったら草だったという、恐ろしくつまらなく、しかし誰の心にも突き刺さるオチ。





達細。





正直に言おう。



俺の願望をエッセイにしてみた。



俺にそっくりの双子の弟、達細。





流れ星が流れたなら、俺はこの長いエッセイを、3回唱えようじゃないか。



そのときが、本当の達細の誕生だ。



俺と双子なのに、これから誕生する達細に、





じゅて~む





明日は我が身、それが竹野内豊。





りありぃ~?