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じゅて~む

じゅて~む エッセイ編 第26夜

2020.10.10 00:58












【あらすじ】



N県新潟市やN県長野市でコント活動をする集団の、コント台本を担当している江尻晴子(39歳)が、架空の男性・達太としてエッセイ連載にチャレンジ。



タイトルの「じゅて~む」は愛しているという意味だが、架空の男性・達太が主人公の小説「じゅて~む」からの引用でもある。



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まずは自己紹介から。



俺は達太。



39歳の、平凡な、いたって普通の会社員だ。



昼にカツ丼を食べ、心に火が点き、夜にカツカレーを食べる、つまらない男だ。



見てくれは、高木ブーそのもの。



だが、ジャムおじさんにも似ているから不思議だ。





こんな俺も、恋人を募集中だ。



誰でも良い。



恋愛は面倒だ。どうせ面倒なのだから、相手は誰でもいいのだ。



俺が紳士で男前ならば、その恋人も当然輝く。俺がステップアップすれば良いだけのこと。





そうやって募集中の気持ちを持って、歩道を練り歩いていたときのこと。



遠くから



「マーボー、マーボー・・・。」



と。俺を呼ぶ声がした。





女か?





マーボー、つまり麻婆丼?



いや。麻婆麺。



女、俺に何を言いたい。





麻婆、麻婆、と繰り返す声は次第に近づいてくる。



近づくにつれ、俺は耳を疑った。





「マーボー、ピーポー・・・」





女は、麻婆麻婆と繰り返すのを辞め、麻婆ピーポーと俺に訴えてきたのだ。





なんという女だ。



パーティーピーポーなんて俺は嫌いだ。それを感じ取り、俺に好かれようと自身を「麻婆ピーポー」と卑下しているのか。



そんな引け目を感じるな。



「麻婆ピーポー」だっていいじゃないか。



俺も、カツ丼やカツカレーや、牛丼や、チャーシュー麺が存在しなければ「麻婆ピーポー」になっていたかもしれないんだ。



俺は麻婆ピーポー予備軍なんだ。



俺は顔も知らぬ女に好意を抱いた。





しかし。



次の瞬間、「マーボー、ピーポー」と繰り返していた女が、「ピーポー、ピーポー」と繰り返しだした。






向こうから救急車がやってくる。



俺は歩道を練り歩くことを中断し、歩道の隅へ。





救急車はノロノロと俺の前を通り過ぎる。マーボー、マーボーと鳴らしながら。



俺は麻婆麺が食べたくなった。



麻婆丼でも良い。





しかし、俺の耳に、また別の女の声が届く。



モテるな今夜は。





「カンカンカンカン、バンサンカン。



 焼き肉焼いても家焼くな。」




また別の女から焼き肉の誘いのようだ。



いいだろう。たまには女と焼き肉も。





しかし、女が俺に近づくにつれ「カンカンカン」と繰り返すばかりで焼き肉については言及しなくなった。




目の前を消防車が通り過ぎる。



火というものは肉を焼くには便利だが、肉以外を焼くときは脅威だ。家財など焼いたなら俺は許さない。肉を焼けと火に説教したい。



女はどこへ。




まあいい。



もっとイイ女の声がする。



「ううううう~、まいう!」



何を食ったんだ。



俺はこの女に決める。



モテを楽しんでもつまらない。さっさと相手を決めるんだ。



ただし、女のこの「うううう~」というサイレンのような『まいう~コール』が紅茶に充てたものだった場合、俺は女を許さない。



慰謝料を請求する。



俺は、一生恋愛をしないだろう。





パトカーが俺の前を通る。



当然だ。



紅茶やケーキや、ところてんや、湯葉に「まいうー」と言う女は、逮捕せねばならない。



女だとして容赦は無用。





それでもとりあえず、



じゅて~む