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じゅて~む

じゅて~む エッセイ編 第25夜

2020.10.04 02:04












【あらすじ】



N県新潟市やN県長野市でコント活動をする集団の、コント台本を担当している江尻晴子(39歳)が、架空の男性・達太としてエッセイ連載にチャレンジ。



タイトルの「じゅて~む」は愛しているという意味だが、架空の男性・達太が主人公の小説「じゅて~む」からの引用でもある。



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まずは自己紹介から。





私の名前は宮村達太。39歳。



月~金は、高木ブー似の会社員。



土日は音楽家バッハ似のエッセイスト。



異性と会うときは藤岡弘が30㎏の増量に成功した状態。





つまり日曜はエッセイストだ。



PCに向かい、エッセイを綴る。



しかしその時、目線を感じた。





振り返る。





誰もいない。





私は再び、エッセイを書こうとPCに向かう。



「下書きが先か、清書が先か。」



迷いながら。





そのとき



「達太・・・、達太・・・。」



私は呼ばれた気がして振り返る。





誰もいない。



そこにあるのは私の似顔絵のみ。



姪が書いたものだ。



私が麻婆を平らげている似顔絵。



9月の敬老の日に姪からプレゼントされた。



3~4名でシェアすべき中華料理屋の麻婆を、親戚連中で出掛けたあの日、私は一人で平らげてしまったんだ。



それが姪の脳裏に焼き付いたのか。



似顔絵が後日、敬老の日に届いた。





私に似た男を好きにならないといいが・・・。





「達太。達太。」



私はまた呼ばれた気がして振り返る。



しかし、誰もいない。



当然。私は一人暮らし。





怖くなってきた。エッセイを書くのを中断する。じっとしていれば奴もどこかへ去るはず。





私はじっとしているのが得意だ。



職場でも、いつもじっとして昼が来るのを待っている。



それで?と思うな。私は営業時代からそうして昼がくるのをじっと待っていたのだ。



営業としては珍しいタイプだ。



私がじっとしていることに、どれだけ長けているか、よくわかるエピソードだ。





「達太。達太。食え。麻婆を食え。」



私は振り返る。



そこには私の似顔絵のみ。



仕方がない。麻婆を食うか。私は観念する。出前をとる。しかし、その間にも似顔絵が呪って急かして語りかけてくる。



麻婆いつ食うの?と言わんばかりに。



しぶしぶ台所に立ち、麻婆丼を作る。出前を待ちながら。




私だって、すべて気のせいだと解っている。



似顔絵が達太達太と語りかけてこない事くらい、解っている。



麻婆が食べたい自分自身が生んだ幻聴だ。



似顔絵を背後に飾ることを、強くお勧めする。



神秘的かつホラーな体験ができる。



のみならず。食べたいものを変な時間に食べる理由ができる。大義名分というやつだ。



しかも。自分が自分を呼ぶという、恐ろしくも美しい体験ができる。





芸術の秋でもなく、食欲の秋でもなく、恐ろしい秋だ。





そして気付いてくれただろうか。



本日のエッセイは、女として発表した。一人称が「俺」ではなく「私」だ。



本日の俺は女なのだ。





今一度、冒頭から読み直してはいかがだろうか。



女の俺がそこには居る。惚れるな、困る、面倒だ。





女ごころと秋の空。移ろいやすいのだ。俺も男を移ろい女となった。





全ての男に投げキッス、じゅて~む。