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じゅて~む

じゅて~む 推理小説編 第二夜【豚】

2020.09.27 01:41












【あらすじ】



39歳の会社員であり、エッセイストの達太は、高木ブー氏とほんじゃまか石塚さんのハーフのような出で立ち。つまり、立派なハーフ。





季節は夏。



達太が浜辺で、腹を出して寝転んでいたところ、見知らぬ少年のかき氷メロン味が、誰かに盗まれてしまう事件が発生。「僕のかき氷がないよ」と嘆く少年。



達太は素早く、会社員兼エッセイストから、探偵に転身。



犯人捜しに興じることに。



浜辺にいる人々に、口を開けてベロを見せて!と命じながら、浜辺を練り歩く達太。



しかし。浜辺にいる誰もが、達太の命令には従わず・・・。



達太は、なぜベロを見たいかは、まだ秘密にしたいらしく・・・。



二話完結の推理小説、「上下巻」ではなく、達太の好きな言葉「海豚」にのっとり、前回のテーマは「海」、今回のテーマは「豚」。



最終話「豚」、事件は解決なるか。



達太は「海豚」がイルカと分かるか。



ーーーーーーーーーーーーーーーーー





「みなさん、口を大きく開けて!



じゅて~む。」





俺は疲れてきた。



そのとき。



海の家のメニュウに豚串があったことを、俺は思い出した。



豚串を食いたいと思った。



捜査を諦めたかにみえるだろう。



しかし。逆だ。





俺は豚串を20本、注文する。



お時間20分ほど頂きますと海の家の女が冷たく俺をあしらう。



待とうじゃないかと俺は答える。



あくまでジェントルに。



待つ間、カツカレーも食おうじゃないかと俺は女に提案する。



女は豚串20本とカツカレーの料金を俺に請求してきた。



そうだな、俺らの財布は一緒ではない。夫婦ではない。払おうじゃないかと俺は、払う。





カツカレーは旨かった。暑い日のカレーは格別というが、トンカツも格別だ。





豚串20本も焼きあがった。



俺は豚串を両手に抱え、再び浜辺を練り歩く。



そして、



「一口どうぞ、美味しい豚串です。」



浜辺にいる人々に、接触をする。



「はい、あ~~ん!」





人は「あ~ん」としてくれるに違いない。豚串なら間違いない。これが焼き鳥だと、そうはいかない。



ししとう串だと、希望はゼロだ。



人が「あ~ん」したらしめたものだ。



ベロの色を確認、緑だったら、そいつが犯人。



しかし。



豚串は食わせない。



「はい、あ~~ん!」と言いながら、この短い腕をくるりとひる返し、自分の口元に豚串を持ってくる。





旨いな豚串。





俺は浜辺にいる人々に片っ端から



「一口どうぞ、美味しい豚串です。」



「はい、あ~~ん!」



と、しながら、どんどん豚串を平らげていく。



全員、キョトンだ。



キョトンとした後、海での遊びを再開する。



つまり、すべての豚串は俺の腹に収まる。最高だ、しかし探偵としては最悪の事態だ。俺には最高の事態だ。





豚串19本め。



俺は一人の少年に



「一口どうぞ、美味しい豚串です。」



「はい、あ~~ん!」



を実行。



もちろん少年はキョトン。俺は豚串を頂く。



そして、豚串をモグモグしながら、その少年の手に持つカップを見てしまったんだ。



そこには緑色の液体。



少年の顔を、豚串を食べ進めながら凝視したんだ。



それは、「僕のかき氷がないよ」と悲観していた少年だったんだ。





おいおい、勘弁してくれよ。



だからかき氷は嫌いなんだ。



水と化す。



腹に溜まらない。





最後の豚串を食う前に、事件は解決か。





だが。問題がひとつ残る。



最後の豚串を少年に与え、かき氷の無意味さと豚串の素晴らしさを少年に、いち大人として教えるべきか。





それとも自分で食すか。





じゅて~むか。





【完】