Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

じゅて~む

じゅて~む 推理小説編 第一夜【海】

2020.09.25 13:00












【あらすじ】



N県新潟市やN県長野市でコント活動をする集団の、コント台本を担当している江尻晴子が、架空の男性・達太としてエッセイ連載にチャレンジ。



タイトルの「じゅて~む」は愛しているという意味だが、架空の男性・達太が主人公の小説「じゅて~む」からの引用でもある。



ーーーーーーーーーーーーーーーーー



俺は達太。



月曜~金曜は、39歳の会社員。



しかし土日。エッセイストとして羽化する。金曜の夜に、いったん「さなぎ」となり、土曜の朝に羽化してエッセイストとなる仕組みだ。



誰もがこんなこと、知らなかっただろう。色々あるんだ。



もちろん、さなぎ時代も、まるまるしている。



おっと、説明を忘れていたが、俺は七福神の中では布袋尊に一番似ている。



ドリフターズの中では高木ブー。





ところで、あらすじに「エッセイ連載にチャレンジ」など書かれているし、俺すら今、エッセイストとして土曜の明け方に羽化している旨を述べたが、



9月の四連休に、四日間かけて「起承転結」にのっとり恋愛小説を書いたところ好評だったように思う。



ミヤムラーや、タツタハルキストなる信者も生まれた。





だから、9月の最後の二連休には推理小説でもやっちまおうかと思う。



「起承転結」ならぬ、2日間だし「海豚」はどうだ。



俺の好きな言葉だ。



最高ではないか。海を見ながら、浜辺で豚串を頂く。



幼い頃は「海豚」の意味が解らなかった。大人になると文字から、予測ができるようになる。



海を見ながら豚串を食うという意味だとわかる。



「豚」には豚丼・豚肉・豚串の意味合いがあるが、豚に「海」がつくと、豚丼は難しくなる。丼をどこに返すか問題が発生するからだ。



いくら丼が好きな俺でも、手首が疲れるのは困る。





では始める。推理小説じゅて~む、「海」



ーーーーーーーーーーーーーーーー



俺は海に来た。



何故って、夏だから。



水着は要らない。



海には入らない。



俺の腹が、すでに水着だ。水に濡れても構わない。防水しないという潔さ。



そして、海に入ることすら予定していない。



俺は、波にさらわれ、ロシアの浜に打ちあげられるのが苦手なのだ。





そうやって海辺で、この腹を焼いていたところ、悲鳴が聞こえた。



「僕のかき氷がないよー」





むくりと起き上がる。



俺の出番か。



こう見えて、俺は会社員であり、エッセイストであり、気持ちは探偵だ。





「どうされましたか」



俺は悲鳴の主に問う。



「僕のかき氷が、何者かに盗まれたんだ。」



なるほど。



バカンス中の俺に、依頼が舞い込んだってわけか。



バカンス中ではないが酔いしれてみる。お勧めする。気の向かない作業に取り掛かるとき、バカンス中だと思うとダンディズムに火が点き、やる気が沸く。





「ねえ君。盗まれたのは、何味のかき氷だい?」





「メロン!」



メロン。



メロン?



なかなかに解決し甲斐のある・・・。





「動くな!ここにいる全員が容疑者だ・・・・。浜辺という密室だ。」





俺は、浜辺にいる全員のアリバイを聞く必要がある。



しかし浜辺の全員が、海遊びに興じている。動きを止めるものは皆無。



「動くな!」



もう一度警鐘を鳴らすが、全員が動いている。それもすごいことだ。






しぶしぶ俺は、自分が動く。



そして、一人一人に、口を開けてもらい、ベロの色をチェックさせてもらうべく、浜辺を練り歩く。



なぜベロの色をチェックするかは、今はまだ言えない。犯人にこちらの手の内を明かすわけにはいかない。



「皆さーーーん。口を、大きく開けて下さ~い。」



誰も口を開けない、なぜだ。



砂に、この短い足をとられながらも俺は練り歩き続ける。





「さあ恥ずかしがらずに、僕に続いて。じゅて~む!」



「じゅて~む!」



「じゅて~む!」



「じゅて~む!」



「じゅて~む!」





誰も口を開けない。





かき氷を盗み食った犯人は、一体何が目的なのか?



動機が一切見当たらない。かき氷は満腹感ゼロ、それはつまり動機がゼロ。



つまり。



愉快犯。



一番やっかいだ。





「じゅて~む!」



「じゅて~む!」



「じゅて~む!」





ちくしょう。口を開け。



こいつらは、遊びに夢中で俺の呼びかけに応じないのか。



それとも呼びかけに応じているが「む」で締めるため、口を閉じてしまったか。



それともまさか。俺が見えない?



こんなに目立つ容姿なのに?!



それとも。俺が心底からかき氷を食べ物として軽蔑していることが、バレているのか?



浜辺にいる全員にバレるなんてあるか?



敵の罠か?





じゅて~む



じゅて~む



大きく口を開けて、じゅて~む!





     【最終話「豚」に続く!】