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季節の変わり目の体調管理

2021.11.10 00:00

イラストレーション:堺直子


「木枯らし1号」という言葉を耳にするようになりました。木枯らし1号とは、10月半ばから11月末までの冬型の気圧配置のとき、東京か大阪でその年初めて吹いた北寄りのやや強い風をいいます。本格的な冬到来に備え、これまで以上に体調管理に努めましょう。


体内時計により血圧が上昇してくる時期

私たちの体には、夜になれば自然と眠くなり、朝になると目が覚めるといった体内時計の仕組みが備わっています。体内時計にはこのような1日の周期だけでなく、1年の周期もあります。また、体内時計は血圧の調整にも関わっています。血圧は1日の中で睡眠中に低くなり、起床とともに上昇していきますが、1年の流れでみると、春から夏に下がり、秋から冬に上昇する傾向があります。寒い季節に血圧が上がるのは、熱が外へ逃げないように血管が収縮し、血管に圧がかかるためと考えられています。

血圧上昇は脳卒中のリスクを高めます。日ごろから血圧が高い人はもちろん、春や夏は正常値の人でもこれからの季節は血圧が上がる可能性があるので、毎日起床後に血圧を測定するとよいでしょう。ちなみに、家庭で測定する血圧値は、収縮期血圧(上の血圧)135mmHg未満かつ拡張期血圧(下の血圧)85mmHg未満を保つことが脳卒中の予防になるといわれます。


温度変化をなくしてヒートショックを防止

血圧に関してさらにいえば、これからの季節は「ヒートショック」が起こりやすくなるので注意が必要です。ヒートショックとは、急激な温度変化によって血圧が急上昇したり下降したりして、体が不調をきたすことをいいます。ヒートショックを起こすと、脳卒中や心筋梗塞を招き、最悪の場合、生命に危険が及ぶこともあります。

ヒートショックが最も起こりやすいのは入浴時です。暖かい居間から寒い脱衣所に行って血圧が上がり、湯に入った直後にさらに血圧が上がり、しばらく湯につかっていると血圧が下がる、浴室から寒い脱衣所に出ると再び血圧が上がる……と血圧が大きく変動します。入浴時のヒートショックを防ぐには、前もって脱衣所や浴室を暖めておく、いきなり湯に入るのは避け、手や足などの心臓から遠い部分からかけ湯をする、湯の温度は40℃程度までにする、などが有効です。


日光を浴びてビタミンDを生成

冬至に向けて、日照時間はどんどん短くなります。また、寒いと戸外で過ごす時間が少なくなりがちです。こうしたことからビタミンD不足が懸念されます。

ビタミンDは体内でカルシウムの吸収を助け、血液中のカルシウムを骨まで運ぶ働きをします。ビタミンDは干しシイタケやしらす干しなどの食品に含まれますが、実は日光を浴びることによっても作られます。

ビタミンD不足が続くと、子どもではくる病、大人では骨粗しょう症のリスクを高めます。冬場であっても努めて戸外に出て、日光を浴びるようにしましょう。

なお、季節の変わり目の体調管理についてわからないことがある場合は、薬剤師に気軽におたずねください。